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「すり合わせ文化」をぶち壊さなければ経済は成長しない
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nikkei BPnet 田原総一朗の政財界「ここだけの話」 2014年7月31日
(前略)
◆保守の「ケチケチ」、リベラルの「バラマキ」(中略)
◆「日本は経済成長しない」という“常識”にチャレンジ(中略)
◆経済成長には企業の体質改善が必要だ(中略)
日本の経済成長を実現するには、本来の保守政策、つまり自由競争を促さなければ
ならない。まずやるべきことは、その主役となる企業の体質改革である。日本企業は
、アナログからデジタルの時代に変わるとき、その流れに乗り遅れた。なぜか。
◆「企業内のすり合わせ」をぶっ壊すことができない
大企業とそれを支える中小企業の多くは、ものづくりで見事な「すり合わせ」技術を
駆使し、高品質な製品をつくって世界を席巻した。しかしデジタル時代になると、
パッケージ化された部品を組み立てるようになり、繊細な技を必要とするすり合わせはいらなくなった。
そこで経営者に求められたのは、意思決定のスピードである。しかし、日本企業は
これが非常に遅い。さらに言えば、日本の経営者はまともに意思決定ができない。
こうした日本企業の経営者の意識改革を促すため、今年6月に改正会社法が成立し、
社外取締役の選任が促されるようになったが、まだまだ十分ではない。一部の
経済界の反対により、社外取締役選任の義務化は実現できていない。社外取締役は、
「企業内のすり合わせ」や、悪しき日本の民主主義的世界をぶっ壊すのが役割だと
私は思っているが、これができないのだ。
雇用の流動化も問題だ。一定のルールのもとに正社員の解雇を認め、新しい分野に
人材を供給できるように労働市場の流動化が求められている。しかし、欧米並みに
正社員を解雇できるようにするルールづくりにメディアが大反対する。成果に応じて
賃金を払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」も同様で、労働時間規制を
緩和して新しい働き方を認めようとするこの制度に対して、メディアは
「残業代ゼロ制度」だとして猛反発する。
結局、経営者にも従業員にも厳しい競争原理を導入しようとすると、強い反対に
遭ってしまい、なかなか前に進まないのだ。
◆9月上旬の内閣改造で経済優先の布陣ができるか
政府は最近、地方経済の活性化を重視する姿勢を見せるが、その場合、地方企業にも
厳しい競争原理を適応せざるを得ないだろう。
地方にあるのは多くが中小企業である。日本企業は開業率が低いとされ、企業の
新陳代謝がなかなか進まない。生産性の低い「ダメ企業」は本来、市場から
撤退すべきなのだが、ずっと「ゾンビ企業」として生き残る。
「ダメ企業」が撤退できないのは、中小企業の経営者の個人資産まで銀行が
担保にとるからだ。担保をもとに銀行はズルズルと融資を続ける。日本企業の
新陳代謝を高めるには、個人資産を担保にとらない仕組みに変えなくてはいけない。
そのためには金融機関の体質改革が必要になる。地方企業が活性化しなければ、
地方経済の復活はないのだ。
ところが、政府は再び地方にお金をバラまこうとする。アベノミクスの「第3の矢」で
やるべきことは、市場原理をもっと大胆に取り入れることだ。以前にも書いたが、
政府はドイツの「シュレーダー改革」を見習うべきなのだ。
9月上旬に実施が予定される内閣改造で、安倍晋三首相は成長戦略をやり抜くための
布陣にできるのか、経済優先の改革メッセージを強く打ち出せるのか。そこが
内閣改造のポイントになる。