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牛丼チェーン最大手「すき家」の過剰労働問題をめぐり、ゼンショーホールディングス(HD)の第三者委員会(委員長・久保利英明
弁護士)が7月31日提出した調査報告書。かねて深夜の「ワンオペ」と呼ばれる1人勤務体制は知られていたが、従業員への匿名
アンケートなどに基づく報告では、その労働環境の過酷な実態と背景が詳しく指摘された。
「理不尽なことが多い。サービス残業が多く、未払いになっている」
「年末親に会い、20キログラム痩せてみてられない、辞めてくれと頼まれた」
「居眠り運転で交通事故を3回起こした。人が取れず、金曜から月曜は回転になる」
事業会社のゼンショーを2013~14年に退職した社員らが上げた“悲鳴”の一部だ。「回転」とは、店舗での24時間連続勤務を指す
同社独自の隠語で、調査委がヒアリングした現場社員の大半がこれを経験していた。恒常的に月500時間以上働いていたり、多忙で
2週間帰宅できなかったりした従業員もみられたという。
その一因が、定着率の低さによる社員の慢性的な不足だ。すき家の今年4月の店舗数は1986店と3年前より414店増えたが、
契約・シニアを含めた社員数は9人増の584人とほぼ変わっていない。
新卒社員の離職率は、10年入社組の約33%から11年組の約40%、12年組の約46%と年々悪化していた。
退職社員らの“悲鳴”は会社側も把握していたはずだが、是正されなかった。その背景には、1982年の創業からわずか30年で
外食最大手に急成長した同社の企業文化がある。
調査委の久保利委員長は「会社が短期間で急成長を遂げた成功体験から、創業メンバーら経営幹部の間に長時間労働を容認する
考え方が根強く、法令を軽視していた」と指摘した。
報告書では、深夜時間帯の「ワンオペ」についても厳しく言及。強盗事件の頻発の頻発で社会的批判が高まったことをうけ、ゼンショー
は2011年に複数勤務態勢へ改善する方針を発表したが、「3年近くそれを実行していない会社の対応は問題だ」「店舗が不衛生になり、
あまりにも客を待たせる」と批判した。
ワンオペ解消について、会社側は「2人体制を目指しているが、今のところ半分しかできていない。1日も早く100%にしたい」
(興津龍太郎・ゼンショー社長)と会見で述べたものの、時期については「1日も早く適正な人員配置ができるように努力する」と
繰り返すのみで、明快な答えを示さなかった。
ゼンショーHDの小川賢太郎会長兼社長は「『人手が足りなければ店を閉めろ』というのは乱暴な話だ。1店舗で働く人は15~20人
おり、彼らにとってかけがえのない職場でもある。従業員やその家族からは店を開けてくれという声もある」と釈明。
さらに「ワンオペは、時間当たり売上高に対する適切な労働力投入、という考え方だ。クルーを増やせば顧客満足度が上がり売り上げ
も上がるが、経営が立ちゆかなくなっては(元も子もない)」と本音をのぞかせた。
「『顧客第一主義』を貫いてきたが、『従業員満足度』とのバランスが欠けていた」と反省し、「すき家以外の『ココス』や『はま寿司』など
グループ3千店についても『問題があるのでは』という観点からチェックを進めたい」と語る小川氏。年間4600億円以上の売り上げを誇る
外食最大手として、業界をリードする是正の取り組みが求められる。
ソース(MSN産経ニュース) URLリンク(sankei.jp.msn.com)