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各地の公営団地や都市再生機構(UR)の団地で、内装を自分好みに変えられる「DIY(日曜大工)」を
売りにした物件が目立っている。
賃貸住宅では一般的に禁じられている改装を許可し、老朽化で古くさいイメージを持たれがちな団地に
若い世代を呼び込む狙いだ。
◆再生コンペ
京都市中心部の堀川通に面した築64年の堀川団地の一室。10畳半の床の一部にだけ畳が敷かれ
真っ白い壁にはたくさんのコウモリの絵。古びたコンクリート造りの外観とは対照的なたたずまいだ。
「コンクリートと畳の調和を追求しました」。住人のカバン職人・長屋洋平さん(37)は話す。
団地を所有する京都府住宅供給公社は昨夏、芸術家や職人らを対象に、限定4室の「入居権」をかけて
DIYプランを競うコンペを実施。長屋さんは今年3月に入居し、自ら改装を手がけた。家賃も月2万8000円と
通常より低めに設定され、「古さと新しさが融合した部屋にいると、不思議と仕事のアイデアも湧きます」。
同団地は、老朽化に伴う再整備が進む。再生の起爆剤として、公社は今後もコンペを開いていく予定だ。
◆主婦がデザイン
DIY可能な賃貸住宅は、2011年頃から目立ち始めた。URは同年9月、大阪府富田林市などの団地を対象に
改装費を入居者が負担する代わり、退去時の原状回復義務を撤廃。契約から3か月は、改装期間として賃料も免除した。
壁の塗装など簡易な施工に限った「プチDIY」も含め、現在、URのDIY物件は38団地・計171戸に広がっている。
背景には、「若い世代に老朽化や設備の不便さが敬遠されかねない」(UR担当者)との危機感がある。
少子高齢化で公営住宅の空室の増加も見込まれる中、UR団地などのリノベーション(大規模改修)を手がける
建築家の馬場正尊さん(45)は「入居者の視点を意識した住宅への転換が進んでいる」と言う。
1970~80年代建築の箕面粟生(あお)団地(大阪府箕面市)では12年6月
同府泉佐野市の賃貸住宅のDIY体験をつづったブログが人気の主婦久米真理さん(27)に
モデルルームのデザインと施工を依頼。木目やレンガ柄の壁紙、手作りのキッチンカウンターが人気を呼び
DIY対象の28戸はほぼ埋まった。
昨年1月に入居した主婦福山伊穂莉さん(28)は、壁を若草色に塗り、押し入れを夫の書斎に改装。
「子の成長に合わせて壁紙を替えるなど、家族と家が一緒に変化できるのも魅力」と喜ぶ。
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