14/06/15 18:17:16.38
■なぜ決裂したのか
男は、2時間半にわたるインタビューで何度も繰り返した。
私はシャープにだまされた。
言葉の主は、EMS(電子機器受託製造サービス)世界最大手、台湾・鴻海精密工業のテリー・ゴウ(郭台銘)董事長だ。
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シャープと鴻海の社名を聞くと、「あの事件」を思い出す人は多いはずだ。2012年3月、シャープと鴻海は業務資本提携を締結。
鴻海側が約1300億円を投じ、うち半額をシャープ本体に、残りを大阪府堺市にあるシャープの液晶ディスプレイ工場(現・堺ディスプレイ
プロダクト)に出資する計画だった。当時シャープは液晶と太陽電池の不調で巨額赤字に転落。大型社債の償還も控え、企業存続すら
危ぶまれていた。
苦境のシャープ救済に踊り出た鴻海とゴウ氏。提携は打倒サムスン電子をスローガンにした日台共闘の構図もあり、ことの推移を
産業界は固唾を呑んで見守った。
しかし、だ。その後両社は揉めに揉め、結局鴻海はシャープ本体への出資を払い込み期限(2013年3月26日)までに行わかった。
本体同士の提携は事実上白紙に戻ったのだ。両社はいったいなぜ折り合わなかったのだろうか。これまで、その核心部分は、明らかに
されてこなかった。
ゴウ氏が率いる鴻海とは、そもそもどのような会社なのか。
鴻海という社名に親しみはなくても、実は日本人の多くが鴻海製品のユーザーである。iPhone、iPad、プレイステーション、ニンテンドー
3DS―こういった電子機器の多くは、実は鴻海で製造されている。EMSとは、アップルやソニー、任天堂のようなブランド企業から
製品生産を請け負う下請け業者なのだ。
しかも鴻海の規模は、EMS業界で突出するばかりか、顧客のブランド企業の多くをも軽く凌駕する。2013年の売上高は約4兆台湾ドル
(約13兆円)。約1700億ドル(約17.3兆円)のアップルは別格にしても、ソニーの7.7兆円(14年3月期)、任天堂の5717億円(同)を軽く
上回る。ちなみにシャープは2.9兆円(同)とやはり大きく水を開けられている。
経済において規模は力である。鴻海が顧客を選ぶという現象が実際に起きている。日本国内のある大手電機メーカーが、一度敗退
した海外市場に再参入しようと目論み、鴻海に携帯電話の生産受託を打診したことがある。ところが鴻海の答えはノー。「生産台数が
鴻海の基準からするとあまりに少なすぎ、とても引き受けられなかった」(鴻海関係者)というのがその理由だ。
■製品分野の1位、2位に食いこむ
鴻海は常に、ある製品分野の1位、2位メーカーを主力顧客に選んでいる。スマートフォンやタブレットで言えばアップル、ソニー、
パソコンで言えば米ヒューレット・パッカードなどだ。逆に言えば、3位以下のメーカーの依頼には、特別な理由がなければ食指を
動かさない。一般消費者の前に姿を表さないだけで、鴻海とゴウ氏は、産業秩序を左右する「電子の帝王」なのである。
それにしても、ゴウ氏はシャープの誰に、どのように「だまされた」のだろうか。2時間半のインタビューで思いの丈を語った。
※詳細は「週刊東洋経済」6月21日号(16日発売)掲載の総ページ10ページの特別インタビュー「テリー・ゴウすべてを語る」を
ご覧下さい。
ソース(週刊東洋経済) URLリンク(toyokeizai.net)