14/06/03 01:02:45.97
東レの榊原定征会長(71)が3日、経団連の新しい会長に就任する。
榊原氏は報道各社のインタビューに応じ、安倍政権との連携を強め、デフレ脱却に向けて共同歩調をとると強調した。
政策面では法人税率引き下げをあげて「大事なのは実効税率25%への引き下げを目指すことだ」と指摘し
政府がその道筋を明確にするよう求めた。
経団連は3日の定時総会で、米倉弘昌現会長(77)の退任と榊原新体制の発足を決める。
米倉氏はかつて安倍晋三首相が進めようとした金融政策を「無鉄砲」などと批判。
政権との関係はぎくしゃくしたままで、目先の課題は円滑な協力関係を築けるかに尽きる。
「政治と経済は車の両輪。連携を一段と強める」
榊原新会長はインタビューで真っ先にこう強調した。「スピード感を持った『決める政治』に果敢に取り組んでいる」と
安倍政権といわゆるアベノミクスを持ち上げた。
距離を縮める方法に、民主党政権以降、中断してきた政治献金への関与拡大がある。
榊原氏は即時再開の表明は見送ったものの、「どのようなことが可能か、年内には方向性を出したい」と含みを持たせた。
政策評価の在り方とあわせ、カネを使ってすり寄ったと思われない仕組みを整えられるか。慎重な調整が求められそうだ。
「実効税率25%への道筋をしっかり書いてほしい」
法人税改革では米倉体制との整合性やこれまでの首相発言を意識、経団連としての主張を改めて求めた。
内容も、来年度から引き下げるという入り口と、現状で35.64%(東京都の場合)を経済協力開発機構(OECD)諸国並みの
25%まで下げるという出口の2点に絞っている。
政府・与党は近くまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に法人税部分をどう書き込むかで最終調整している。
踏み込み過ぎを避けながら、大きな方向性を求めた印象が強い。
目下最大の焦点は法人減税に伴う代替財源をどう確保するかだ。榊原氏は「総合的な検討が必要」と述べるにとどめ
「景気回復で税収が増えた分を減税の財源に充てる」という方針をあげた。
だがこれは恒久財源にはならない。例えば、特定の業界を優遇してきた租税特別措置を縮小するかどうか。
実効税率下げの恩恵を経済界に広げるため、各業界の既得権益まで切り込めるか。経済界にも決断が迫られる。
一方、2015年10月予定の10%への消費増税には強気な発言が目立った。政府は引き上げの是非を年末に判断する。
「消費税上げは不可欠。(4月からの反動減を)着実に克服しており、増税に向けた経済の基盤は整っている」
榊原氏は予定通りの増税は可能との見方を示したが、景気と再増税に伴う家計への影響は見通しにくい部分もある。
榊原氏は、東レで炭素繊維を主力事業に育てるなど経営者としての評価が高い。イノベーションを政策提言の柱に据え
1年かけて「榊原ビジョン」をつくる予定という。もっともこの部分でも「政権の成長戦略と別物をつくるわけではない」と
共同歩調に重きを置く。独自色を発揮し、経団連の存在感低下に歯止めをかけられるか。新会長の手腕にかかっている。
URLリンク(www.nikkei.com)