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藤森義明氏は「トイレ業界のスティーブ・ジョブズ」になりたいと思っている。
スマートフォン「iPhone (アイフォーン)」のように、アプリ満載のトイレは日本でも人気だ。
ふたは自動的に開き、座席は暖められている。内蔵されているビデは洗浄をスムーズにこなす。
トイレの一部は、ブルートゥースを通じてiPhoneと同期化すれば便器に組み込まれたスピーカーから好きな音楽を流すこともできる。
日本では住宅の4分の3がこうしたトイレを装備しており、その大半は住宅総合機器メーカーのTOTOか
藤森氏が最高経営責任者(CEO)を務める建材・住宅設備大手リクシルの製品だ。
藤森氏は米国でもこうしたトイレの普及を推進している。
リクシルは北米最大の衛生陶器メーカーであるアメリカン・スタンダード・ブランズを2013年に
債務を含めて5億4200万ドルで買収したが、その製品に「ビデ内蔵」トイレを加える方針だ。
米国ではビデはしばしば道楽の代名詞とされるが、藤森氏はいったん馴染みのあるブランドから販売されれば
米国人は自宅への取り付けを歓迎するとみている。iPhoneが登場するまでスマートフォン(スマホ)を必要と感じた人はほとんどいなかったことをみても
アメリカン・スタンダードの新しいトイレとして販売すれば米国でも需要があると藤森氏はみている。
藤森氏は東京のリクシル本社でのインタビューで「業界がiPhoneを提示する、業界がシャワートイレを提示する」とし
「当社はこれと同様のパターンを構築できる」と述べた。
TOTOと浴室器具メーカーの米コーラーは、数年前からビデ機能のついたトイレを米国で販売している。
こうしたトイレは浴室の一部というよりユーモアとして取り入れられている。それは、価格が高級モデルで最大5000ドルに達するなど
通常のトイレの10倍以上もすることが唯一の理由だ。
女優のウーピー・ゴールドバーグさんは2011年に、テレビのトーク番組「オプラ・ウィンフリー・ショー」で
TOTOの「ウォッシュレット」を「この地球上で最も偉大な発明」と呼んだ。一方でテレビアニメの「ザ・シンプソンズ」で日本が舞台となった1999年のエピソードで
ホテルのトイレが「ようこそ、いらっしゃいました」としゃべったとき、主人公のホーマー・シンプソンはただ困惑していた。
TOTOは1980年に日本でビデ・スタイルのトイレを「ウォッシュレット」ブランドで立ち上げ、その後1993年に米国市場に参入した。
TOTOは戦後の占領下で連合軍の総司令部(GHQ)にかつて設置されていた男性用小便器をTOTO博物館に展示している。
その横には明治時代からの陶器製室内用便器が並んでいる。リクシルとは異なり、TOTOは別ブランドの買収を通じて
迅速に事業を拡大するよりも独自ブランドによる成長を目指している。
国際事業本部担当執行役員、安部壮一氏は北九州市小倉の本社でのインタビューで
「もちろん、利益を生むことも重要だが、その国に根ざし、水回り文化に貢献していくことがまず第一にある」とした上で
「そこから信頼関係を築き、愛されるブランドを培っていきたい、それが創業者から伝わってきているわれわれのDNAだ」と述べた。
TOTOは米国でのウォッシュレット売上高の詳細は公表していないが、全体のトイレ業界の2倍のペースで成長しているとしている。
URLリンク(jp.wsj.com)