14/03/18 12:33:58.44
中国家電メーカー、ハイアールは2011年にパナソニックから三洋電機の冷蔵庫と
洗濯機事業を買収した。かつて三洋電機は「白物家電のモルモット」と言われていた。
風呂の水を再利用する洗濯機や洗剤のいらない洗濯機など、業界初のアイデア製品を
生み出してきた。ハイアールに買収された後は、アイデアの宝庫だった旧三洋電機の
研究開発拠点は中国のハイアール本社へ技術を移管し、新製品開発に生かしてきた。
三洋とハイアールの融合が進むなかで、ハイアール流に戸惑う旧三洋電機の社員もいる。
若手社員でも能力さえあれば昇進するハイアールに対し、年功序列の組織だった旧三洋
電機。旧三洋電機の社員は企業文化の違いに戸惑いつつも、変化の速さに慣れようと
必死に取り組んでいる。
京都市内に拠点を置くハイアールアジアインターナショナルの洗濯機R&Dセンター。
技術責任者を務める松本雅和総監(52)にとって1年で最も緊張する会議が秋にある。
中国・青島本社で開かれる技術開発の検討会議だ。
この会議で5年先に実現しそうな要素技術開発をどの拠点が担当するのか決まる。
20億円の研究開発費を日米欧、2012年に買収したニュージーランドのフィッシャー
アンドパイケルの4拠点で奪い合う。
松本総監は壁に貼られた約20の研究テーマ一覧から、自分の拠点が担えるテーマを探す。
研究開発費を得るために、自分の拠点がいかに優れているのかアピールしなければならない。
「日本の技術者にとってプレゼンは苦手な分野。でもやるしかない」(松本総監)。この会議は
すべて英語で行われる。
■「慣れるしかない」
冷蔵庫のデザイナー、高嶋公恵担当課長(50)もハイアール傘下になったことで厳しい
競争にさらされている。新型冷蔵庫のデザインを任されるまでに、社外も含めた競争に
勝ち抜かなければならないからだ。中国本社のほか、社外のデザイン事務所とコンペ形式
で競う。イタリアにある個人デザイン事務所などこれまで聞いたことがないデザイナーも
参加する。多い時は5社とコンペになり「採択率は50%」だという。
何社と競っているのかさえ教えてもらえない時もある。期限より早く提出したところ、
中国本社のチームが高嶋担当課長らのデザインを参考にしてアイデアを提出されてしまう
悔しい思いもした。
いったんデザインが採用されても、開発途中で消費者に見せる機会があり、反応が悪いと
コンペをやり直す。「同じ案件をたくさんのデザイナーが競い合うなんて非効率と思ったが、
ハイアールのやり方に慣れるしかない」という。
高嶋担当課長は入社以来、群馬県大泉町にある三洋電機東京製作所で冷蔵庫のデザイナー
として勤務。商品企画部門が近くにいて、商品のコンセプトを聞きながらデザイン案を
まとめていた。社内受注のため、すべてのデザインを担えた。だが、「社内デザイナー
だから採択されるという甘えはなくなった」。(※続く)
●松本総監らは旧三洋電機で培った技術をハイアール本社へ提案している
(写真は洗濯機R&Dセンターの実験施設)
URLリンク(business.nikkeibp.co.jp)
◎URLリンク(business.nikkeibp.co.jp)