14/03/11 08:26:27.13
2014年春闘は10日、相場を主導するトヨタ自動車が月額2700円のベースアップ
(ベア)を実施することで事実上決着。新日鉄住金などの鉄鋼大手4社も14、15年度
の2年分で月額2000円の賃金改善を実施する方向で調整に入った。大手電機では
月2000円の一律ベアに難色を示していたNECや富士通が賃上げ額を当初想定より
上乗せし、日立製作所、東芝、三菱電機、パナソニックの業績好調組と歩調を合わせる
ことを決定。政府の賃上げ要請を受けて、製造業を中心とする主要企業が軒並みベアを
実施する方向が固まった。
■電機大手、同一歩調
トヨタの労使交渉で組合側は4000円の賃金改善を要求していた。経営側は海外メーカー
との競争力や雇用条件の維持に加え、業績回復が遅れている部品メーカーなどとの賃金格差
が拡大していることに配慮し、3000円を下回る水準での決着を図ったとみられる。
自動車メーカーは円安の影響で採算が軒並み改善しており、日産自動車もベアに相当する
月3500円の賃金改善と年5・6カ月の一時金を求める組合側要求を丸のみする方針を
決定。ホンダなど他のメーカーも、月3500円に近い水準のベアと満額の一時金回答が
見込まれている。
大手電機では、日立製作所など重電3社が早い段階でベア容認姿勢を示したが、業績回復
が遅れるNECや富士通は高水準のベアに慎重で、前回08年に実施した1000円に
抑える方針だった。
共同戦線を維持できるかどうかが危ぶまれたのは、業界の二極化が構造的な問題を
はらんでいるためだ。インフラ事業が堅調で14年3月期に過去最高益が見込まれる
日立や、スマートフォン向け半導体好調の波に乗る東芝は当初からベアに柔軟な姿勢を
示唆。一方、赤字事業の縮小など構造改革の渦中にある富士通やNECの経営陣の
表情は硬かった。数年後の業績が見通せない状況では「ベアは困難」との声が支配的で、
他社の動向に神経をとがらせていたのが実情だ。
月額4000円以上のベア統一要求を掲げた電機連合も経営側の厳しい姿勢に直面し、
各企業の組合では前回ベアが実施された08年の1000円、現行の要求方式で最高
だった1998年の1500円など過去の実績を積み上げる交渉戦術を採用。終盤に
なって「電機は春闘相場の形成役。過去にない水準を目指す」(有野正治電機連合委員長)
と最低限の回答水準としてベア2000円を機関決定した。
電機業界では組合側の統一要求に対して、経営側も同水準で回答するのが慣例。回答が
ばらつけば、他業種でも広がりをみせるベアの流れに水を差しかねない。NEC、富士通
の両社経営陣も足元の経営状況にとどまらず、「経済の好循環」への貢献を重視した判断
を迫られた。(※続く)
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