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九州の中でも特に日照条件がよく、メガソーラー(大規模太陽光発電所)が多いと
いわれる大分県の国東半島を訪れた。杵築市は、所有する遊休地をメガソーラー
事業者に積極的に貸し出してきた。2012年7月に再生可能エネルギー固定価格買取制度
(FIT)が始まって1年ほどの間は、ひっきりなしに電話がかかってきたという。
1980年代末に造成された速水インター工業団地では、長らく売れ残っていた区画で、
20年契約の土地貸借によるメガソーラー事業が始まっている。
●ハンファQセルズジャパンの大分杵築メガソーラー発電所の造成工事。
30万平方メートルの土地に20MWの太陽光パネルを敷き詰める
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市商工観光課は、「製造業の海外シフトも進む中、工場誘致が簡単にできない時代が
続いた。賃借料が入るのは財政上助かる」と説明するが、一方で「メガソーラーは
維持管理に人手がかからず、雇用の波及効果があるのは造成時くらい。今後、メガ
ソーラーへの賃貸を強く推進する考えではない」と言う。
■メガソーラー反対 条例制定の動きも
由布岳の北麓に広がる湯布院塚原高原は、美しい牧草地が一面に広がり、大草原を
吹き抜ける風が心地よい。別荘地として人気があり、他地域から移り住んでペン
ションや貸別荘などを営む人も多い。この塚原高原にある市有地でメガソーラーの
開発計画をめぐり住民間で対立が発生している。
市有地といっても、むかし牧草地の入会地(集落で共有している土地)だったものを、
管理は地主のままで、所有権だけ市に移したものだ。昨今は、地主の高齢化に伴い
管理もできない状況になっており、地主の要望を受けて市が売却のためプロポーザル
(企画提案)方式で募集をかけた。最終的に、メガソーラー事業で1社が提案書提出に
至っている。
しかし、別荘地エリアの住民から、「麓を黒い太陽光パネルで埋め尽くすと景観が
害される」と反対の声が相次ぎ、売却手続きが中断している。
別荘地エリアでも別の開発計画が持ち上がっている。バブル崩壊で、別荘分譲が
途中段階のまま、運営主体が倒産。数回の売却を経て最終的に中国系資本が86万
平方メートルの土地を約6億円で取得。メガソーラー事業を営む特定目的会社(SPC)
を設立した。
反対運動は拡大し、由布市は大急ぎで全国的にも類例のない通称「メガソーラー抑制
条例」を制定。市長が抑制区域を指定し、事業者に対して太陽光パネルなどを設置
しないよう協力を求めることができると規定した。しかし、FITは国の法律で、
自治体の関与は規定されておらず、事業者の自由な経済活動を安易に妨げることは
できない。「あくまで要請レベルであり、罰則などはない」(市総合政策課)と
苦しい立てつけだ。
国東半島より少し遅れてメガソーラー開発がピークを迎えているのが、宮崎県宮崎市である。
「この1年で、養鰻池がたくさん埋められてメガソーラーに変わった」(ある住民)。
養鰻は近年の稚魚高騰もあって経営が悪化。折からの経営者の高齢化もあり、事業
転換した人が少なくないようだ。土地の引き合いがよほど強いのか、「最近は売却
ではなく賃貸が増えている」との声も聞かれた。(※続く)
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