14/02/08 11:48:06.27
Macintoshが30周年を迎えた。ほぼ同じタイミングでSONYがPC事業を売却することを
発表した。偶然のような必然である気がしてならない。
かつてVAIOは希望だった。紫色の薄いノートPC(PCG-505)が出たのは1997年の
11月だった。私は社会人1年目で、右も左も分からないまま、営業活動に没頭していた
頃だ。当時、IT業界を担当する営業グループが、商談の際にプレゼンをする必要があり、
薄くて軽いノートPCが必要とされ、VAIOが導入された。クールな端末を持ち歩いている
だけで、そのグループの人たちが羨ましく感じた。
しかし、それはすぐに絶望に変わった。数ヶ月して、熱で端末が反ってきたのだという。
あり得ない。ただ、品質面には大きく問題があるわけだが、前向きに捉えるとしたならば、
いち早くクールなWindowsのモバイルノートを投入したかったということなのだろう。
その後、さらに絶望的な話を聞く。あれは2003年の秋だったか。当時、リクルートの
出資先の企業で広報担当者をしていた私は、普段からジャーナリストと接することが
多かった。ある経済ジャーナリストで、経営者をよく取材している方がこう言った。
「VAIOは壊れやすいって、出井さんが自ら言っていたよ。彼はThinkPadを使っているはず」
耳を疑ったが、お会いするたびに、出井さんから直接聞いた話として、そのエピソードを
紹介していた。SONY勤務の友人も業務用端末は実はThinkPadだと言っていたような。
VAIOはもともと家庭用なので、業務用の端末を分けることはまだわかるのだが。壊れ
やすいなら、なんとかしろと言いたくなった。
VAIOはたしかに、クールなデザインだった時期があったし、最近のデスクトップ用では
フルハイビジョンのディスプレイを導入しており、画面は相当綺麗だった。SONYらしく、
メモリースティックを採用し続けていたのも特徴だ。自分自身がユーザーだった。最近
まで自宅で使用していたVAIOのType Jは震災の前の日に届いたものだ。家族や自宅は
もちろん心配だったけど、同時にこのPCが倒れていないか心配だったっけ。
こう見えて、『MacPeople』というマック雑誌の連載を持っていることと、もともと
電気製品が好きなので、PC売り場にはよく行く。以前は、それこそ当初の紫のVAIOの
ように、変わった色を使うことで売り場で目立っていたVAIOなのだが、現在は他の
メーカーのものと並んでもクールだと思えなかった。それだけ他社が頑張ったという
ことなのだろうが。
以前は、メモリースティックというエコシステムがあり、VAIOを買う意味があった
のだが、現在ではSDメモリカードも採用しており、あまり意味がなくなった。
もともとPC事業というのは、市場の成長性も疑問視されており、特に家庭用に特化して
いるSONYなら撤退も当然だと言えるだろう。
さて、ちょうどMacintoshは30周年だ。記念サイトや映像も話題となった。
「常見陽平の年収の上がらないマックの使い方」を連載している『MacPeople』では、
30周年記念特集が組まれていた。
胸が熱くなった。
Macは世界を変えたとか、革命を起こしたとか、ジョブズすごいとか、いかにもIT系
記事をソーシャルメディアでシェアしまくる、意識高い系みたいなことを言うつもりは
まったくない。
何がすごいかというと、失敗っぷり、試行錯誤っぷりがすごいのだ。※続く
◎URLリンク(agora-web.jp)