13/09/28 08:20:24.52
日米半導体製造装置大手の東京エレクトロンがApplied Materialsが経営統合するということ
ですが、実態を見ればApplied Materials社が東京エレクトロンを買収したような形だそうで、
かつて4年近く中央官庁で半導体業界の産業政策を担当していたものとして忸怩たる思いを
感じております。
『東京エレクトロンとApplied Materialsが経営統合』
URLリンク(www.itmedia.co.jp)
『世界3位の東京エレクトロン、約9,000億円で買収 その裏側とは』
URLリンク(newsphere.jp)
つい4半世紀前の1989年には半導体業界も半導体製造装置業界も日本勢が昇り竜でトップ10の
過半を占めていたわけですが、現在では半導体業界では東芝と辛うじてルネサスがトップ10に
入るか入らないかという位置をキープするに留まり、半導体製造装置業界でも東京エレクトロンや
DNPや日立ハイテクが粘っているものの長期低落傾向は否めず、特にニコンの失速が相変わらず
著しい様子です。一方でアメリカが復権して、勃興してきたのがオランダの勢力で、ASMLや
ASMIといった企業が躍進といったところでしょうか。
今回の買収の結末も「アメリカの会社が日本の会社を買収し、新たな拠点をオランダに置く」
といったところで、この20年間続いてきた「日米欧半導体戦争」は日本の敗戦で勝負あった、
という印象を感じざるを得ないところです。半導体産業の発展というのは軍事技術の進化に
直結するので主要国はみな政府と企業が協力してジャブジャブお金をつぎ込んで研究拠点を
整備しつつ政府や業界団体がロビー活動や標準化活動を推進して産業エコシステムを構築しよう
とするのですが、私が半導体業界を担当していた3~4年前には既に米欧に比べて日本では
しょっぱい設備しか用意できず、担当としても「もう日本では半導体・半導体装置の最先端
研究は不可能になっている」と言わざるを得ない状況になっていました。
ヨーロッパではベルギーのIMEC、アメリカではALBANYという国際研究拠点があり各国企業
から何百億単位でお金を集めて研究施設を運営しているのですが、日本は2000年代後半に純血
・ガラパゴス思想の産業政策をとってしまい、結果的にこれが失敗した形です。ちなみに2000
年代の前半にはつくばに各国企業を終結させた研究体を作りかけたのですが、残念ながらそれに
理解を示さなかった政治家・経産省の幹部がサムソンやintelやIBMといった企業を研究体から
事実上追放してしまい、それが響いた形です。純血路線は本当に大失敗で、結果として競争力
のある企業の研究拠点がどんどん海外に流出して、負け組が日本に集結するという構図が出来
上がってしまいました。2010年ごろに各国企業に頭を下げてなんとか呼び戻そうとしたのですが、
時すでに遅しだった感はありましたね。(※続く)
◎usami-noriya.com/?p=1911
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