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いじめや嫌がらせで同僚を鬱に追いやる、働かない…。非常識な行動で周囲に多大な
迷惑を掛ける「モンスター社員」に悩む企業が増えている。こうした社員の解雇指南
セミナーも盛況だ。ただ、問題があるのは社員だけではなく、企業の人を育てる力の
低下も一因との指摘がある。
■鬱に追い込む
都内の中堅企業に勤務する女性(32)は2008年に入社後、先輩女性のパワー
ハラスメント(パワハラ)に悩まされた。教育係なのに質問しても「今話しかけないで」
と無視。「目が大きければ美人なのに」と容姿や学歴をあげつらう。女性は鬱病で3カ月間
休職した。
先輩の部下2人がこれまでに辞めていた。女性は「(部下を鬱に追い込む社員を指す)
『クラッシャー』という言葉を知り、まさに先輩のことだと思った」と語る。
都内のIT(情報技術)企業に勤める女性(34)の上司は予算管理など中核業務を担当
するが、一日中インターネットのサイトを閲覧し、働かない。急な欠勤も多く、仕事は
職場の座席表作成や弁当発注など雑用だけ。女性は「彼の仕事まで押し付けられ、周囲は
うんざり。職場の責任者も、降格させたいと言いながら『組合問題になる』と踏み切らない」
と憤る。
「社内研修が夏休みと重なったら、研修日を変えろとねじ込んだ」「不要な書類の
シュレッダーしかしない」…。さまざまなモンスターが職場に“出没”している。
TOMAコンサルタンツグループ(東京都千代田区)が7月に、大阪で開いた問題社員の
「正しい辞めさせ方」セミナーに、中小企業経営者ら約100人が詰めかけた。講師で
同グループの麻生武信副理事長は「予想以上の申し込み」と驚く。東京のセミナーは、
応募が定員の2倍に達することもある。大手金融コンサルタント会社なども同種のセミナー
を開く。
セミナーの多くは、問題社員に指導や業務改善命令、配転を重ね、解雇回避の努力を
尽くしたという証拠を積み上げた上で解雇するよう指南する。
労働契約法は「客観的、合理的理由のない解雇」を無効と定める。客観的にやむを得ない
解雇だという証拠を重ねれば、労働者が訴訟を起こした際に、解雇無効の判決が出るリスク
を減らせる。
政府の産業競争力会議で一時、解雇規制の緩和が議論された。産業界が規制緩和を望む
背景に、モンスターの存在もあるようだ。
■“叱る力”が衰え
しかし、企業が純粋な被害者とは限らない。人事コンサルタントの松下直子氏は
「企業の“叱る力”の衰えがモンスターを育てる一因」と話す。
以前と比べ社員同士の人間関係が希薄になった上、正社員が減って1人当たりの仕事が
増えたため、部下の育成に十分手が回らなくなった。上司は部下を本気で指導せず、
評価も同僚と横並びにしがちだ。問題行動を正すのではなく、部署のたらい回しで
当座をしのごうとする。
社員は反省の機会がないため「これでいい」と考え、問題行動をエスカレートさせる。
松下氏は「企業が社員ときちんと向き合い、育てる意識を持てば、モンスター化は
かなり防げる」と話す。
◎URLリンク(www.sankeibiz.jp)