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「iPhone(アイフォーン)」 に指紋認証機能を搭載した米アップル。仕事や
ショッピング決済といったさまざまな場面において、指紋などで個人を識別する
生体認証(バイオメトリクス)機能付き携帯端末が日常となる未来もそう遠くはない
かもしれない。
最新の「iPhone 5S」に搭載されている指紋認証機能「Touch ID」は、
待ち受け画面の解除とアップルのオンラインストア使用時に限られているが、
アナリストからは同社がこうした技術を取り入れたことで、世間に広く採用される
可能性があると指摘する声が聞かれる。
アップルのデザイン担当上級副社長ジョナサン・アイブ氏は、10日の発表イベントでの
ビデオプレゼンテーションの中で、「Touch IDはiPhoneの今後の使い方を定義
づけるものだ」と述べた。
デバイスや銀行口座、オンラインサービスにアクセスするには、暗証番号(PIN)が
これまで主流だったが、推測可能だったり、ハッキングされたりすることがある。
また、多くのユーザーが面倒だと感じる操作を必要とすることから、アップルによると、
スマホユーザーの半数がパスワードを設定したがらないという。
従って、指紋や眼球の虹彩、声などで個人を識別するバイオメトリクスは魅力的な機能だ
と言える。
<モバイル電子商取引を快適に>
アップルのこうした動きは、本体のロック解除や音楽・動画再生アプリの「iTunes
(アイチューンズ)」やアプリ配信サイト「App Store(アップストア)」などの
同社が提供するサービスといった範囲を超えてすぐには広がらないかもしれないが、意義
ある第一歩には違いない。
アップルによると、iTunesのアカウントは5億以上。セキュリティーの向上と決済の
簡素化は、オンライン上での購買力を押し上げることになる。
また、モバイル電子商取引セクターに安心感を与えることにもつながる。市場調査会社
ユーロモニターの推計では、来年は米国だけで、モバイル電子商取引市場の規模が
400億ドルに達するという。
モバイル端末向けアプリを制作するSocialRadarのMichael Chasen最高経営責任者
(CEO)は、指紋認証が、これまでパスワードが盗まれたりすることを恐れ、
モバイル端末を通して買い物をしなかったユーザーの気持ちを変える可能性があると指摘。
モバイル電子商取引にとって、生体認証が「欠けていた部分」かもしれないと述べた。
アナリストや業界関係者によると、バイオメトリクスによるセキュリティーは、社員が持つ
個人の端末を会社のネットワークにつなげることを不安に感じる企業にも魅力的だという。
自社製品にバイオメトリクスを採用したのは、アップルが初めてではない。携帯端末で
言えば、モトローラ・モビリティ・ホールディングスや富士通などが指紋認証付きの製品を
発売してきた。だが、これまで成功したとは言い難かった。(※続く)
◎URLリンク(jp.reuters.com)