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近年の就職活動で避けては通れない壁の一つとして、「筆記試験」が挙げられる。
少し前のデータだが、2011年度の大学生協就職本ランキングでも、上位5冊が
全て筆記試験対策関連書籍であり、学生の関心の高さが見受けられる。
現在では筆記試験の種類・受験形態も非常に多様化している。
代表的な例を挙げれば、リクルートが提供している「SPIシリーズ」、日本エス
・エイチ・エル社の「玉手箱」や「CAB」・「GAB」、更に「内田クレペリン
テスト」や「TG-WEB」、「SOCA」など、テストの種類を挙げればきりが無い。
受験形態も、通常のペーパーテストから自宅で受験できるWeb形式、テストセンター
など様々だ。この他にも、企業によってはオリジナルのテストを作成したり、小論文を
書かせたりと、独自の取り組みも目立つ。
筆記試験の大半は、選考過程の中でも序盤、「面接に進む前」に実施されることが多い。
いわゆる受験者の「足きり」である。
どれだけ企業研究をしても、会社や仕事に対する熱い想いがあっても、筆記試験で
結果を出せなければ面接にすら進めない。
学生が必死で対策に取り組むことも当然である。
当然、大学のキャリアセンターでも筆記試験対策には力を入れている。
中には外部の予備校などの有名講師を招き、講義を実施する大学もある程だ。
しかし、ここ数年で学生の学力に大きな変化が感じられるという。
関西圏の大学を中心に、筆記試験講座を実施している講師に話を聞いてみた。
「顕著に感じるのは「学力の差が大きく開いている」ということですね。筆記試験の
科目では数学関連の問題が多いのですが、問題を解ける学生と解けない学生の差が
あまりにも大きい。極端な例だと、分数の通分ができなかったり、方程式の概念が
分からなかったりと、正直、小学生の算数レベルから指導する場合もある程ですよ」
また、ある大学関係者はこう語る。
「学生の学力低下は、何も学生本人だけの問題だとは言い切れません。ここ最近、
AO入試や推薦入試が大幅に増えたので、「受験勉強をせずに大学に入る学生」が
増加しているんです。一般入試でも、「受験さえすれば事実上合格にする」という
基準を設けている大学もあると聞きます。少子化の影響で学生の獲得争いは熾烈な
状況ですので、「大学への入学」は容易になりました。しかし、「きちんと企業から
内定をもらって卒業する」というハードルが徐々に高くなっているように感じます」
また、企業の人事担当者にも話を聞いた。(※続く)
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