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(続き)
こうした需要増を見越して今治造船と三菱重工業が合弁会社を設立し、年間8隻以上の製造を計画している。
また、ジャパンマリンユナイテッドはLNG運搬船を新たな収益源とし、3、4年後に売り上げを約4割伸ばすとしている。
三井造船は天然ガスを使った船舶エンジンに強く、この技術を横展開し、レバノンでのディーゼル発電設備の受注に成功した。
また、川崎重工業はLNGを燃料とするタンカーの製造に強く、これはアルミ材の精密加工であるが、まさに日本の技術の見せどころなのだ。
かつて国民作家の吉川英治(故人)は、少年時代に横浜港の船がらみの雑役に従事しており、「かんかん虫は唄う」という有名な小説を書いている。
以前、横浜、神戸、長崎などで活発であった造船業は、日本の得意技であったが、中国、韓国勢に押しまくられて一気凋落の憂き目にあってきた。
しかして、海洋王国日本がシェールガス革命を追い風に、再びその勇姿を世界に示そうとしているのだ。
■三菱重工は中韓がマネできない大型客船を受注
三菱重工業は先ごろ、クルーズ客船最大手の米国カーニバル社から、2隻の大型客船受注に成功した。受注総額は約1000億円とみられる。
1番船は2015年3月の引渡し予定で、実に12万4500トン、3300人の乗船能力を持ち、国内で建造される客船としては過去最大のものになる。
この分野になれば、省エネ、ノイズ対策、さらには高級ホテル並みの施設といった高いテクノロジーが必要であり、
中国や韓国の造船各社にはまったく作れないところなのだ。
三菱重工業の大型客船製造は何と9年ぶりになるという。LNG船ブームが到来すると同時に、こうした大型客船もまたシェールガスによる
燃料費低下のインパクトにより、再び活発になってくる。シェールガス革命で弾みがつく、とはまさにこのことなのだ。
「久方ぶりの大型客船の受注で、三菱重工の長崎造船所はさぞかし沸きかえっていることだろうよ。ヨコセン(同社の横浜造船所)が
桜木町駅前にあったころには、酒と女で伊勢佐木町や野毛も、それはもう大変の元気印だったぜ。何でもいいから船が出入りすれば、
使いぷりの良いマドロスさんが、わが国の消費を盛り上げてくれるのよ。何たって、こちとらは四方を海に囲まれている国なんだ」。
筆者の本家である横浜橋の江戸藤(ルーツは江戸時代にまでさかのぼる)で、カツ煮を肴に酒を飲んでいたら、
明らかに元船員とわかるマドロス帽をかぶった70がらみの男が、スポーツ紙を読みながらニヤニヤとひとりつぶやいた言葉ではある。
(記事終)