13/05/28 12:00:23.00
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非正規雇用や就職難の広がりなどで、学生時代に借りた奨学金を返還できないケースが増えている。
日本学生支援機構(以下、支援機構)における未返還額は年々増加し、昨年3月の時点で過去最大の
876億円にも達している。
そのため支援機構は、2008年以降の利用者で、3ヵ月以上滞納している人の情報を
全国の銀行個人信用情報センターに登録(ブラックリスト化)するなど、回収策を強化している。
ブラックリストに載せられると、住宅ローンやクレジットカードなどの審査が通らなくなる可能性も
ある。
支援機構はこのブラックリスト化について、「利用する際に十分に説明もしているし、同意書も
取っている。そもそも同意しなかった人には貸与していない」(支援機構の広報課長・前畑良幸氏)
としている。返すべきものを返せなければ、それなりの対応を取らざるを得ない、との苦肉の策であろう。
民間の金融業者であれば、貸した金を返さなければ、それなりの“ペナルティ”を科すのは当然のこと。
しかし、奨学金制度は「経済的理由で修学が困難な学生の支援」を目的としており、返済についても
学生が卒業後、就職して金を稼ぐという“未来”が前提となっている。
若者の雇用環境は著しく悪化しており、貧困層の拡大が社会問題になっている。そんななかで
ブラックリスト化のような、収入の不安定な若者を苦しめる政策が正しいことなのか疑問が残る。
奨学金問題に詳しい弁護士の岩重佳治氏は、こう語る。
「このような厳しい状況を考慮しないで、奨学金の返還を個人の責任に押しつけ、
ひたすら『返せ』と言うだけでは問題の解決にはつながりません」
返還金は新たな奨学金に充当される「財源」でもある。
回収を緩め、未返還金が増えれば増えるほど、財源が枯渇し制度は立ち行かなくなる。
ある意味で、奨学金事業は自転車操業状態に陥っており、制度そのものが破綻していると言っても
過言ではないのだ。
-続きます-