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年次改革要望書は「要望」にすぎないが、TPPは「協定」になる
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の問題も、そうした日本のチャンスを潰す可能性の
高い問題です。TPPを締結するとかしないとか、いろいろ議論がありますが、菅直人首相が
なぜ突然に「平成の開国」などといい出したのか。どの時点でいい出したのかということを
見なければいけません。
TPPというのは、2006年5月、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの
四ヵ国が集まって始めた自由貿易協定です。そこへ突如としてアメリカがオーストラリアと
一緒になって参加の意向を表明した。そのときオバマ大統領は、「TPPに
加入することによってアメリカは輸出を増やし、雇用を拡大する。それが目的だ」と
はっきりいいました。つまり、アメリカの国益のためにTPPに入るということです。
そして「日本も入れ」といってきたわけです。
アメリカの輸出を増やすといって、ではどこに何を輸出するのかということです。
ブルネイやシンガポールのような小さな国に輸出しても、アメリカ経済にどれだけ効果が
あるか。誰が考えたっておかしい。そうなるとアメリカの目的は、日本を
引きずり込むことにしかない。日本を加盟させ、規制を緩和させて、アメリカの言いなりに
させる。「年次改革要望書」はまだ「要望」です。しかしTPPに入ったら「協定」になる。
法的拘束力が出てきます。約束したことはやらねばならないことになってしまうのです。
オーストラリアだってそうです。オーストラリアは小麦など穀物とか農畜産物を
輸出したいのです。いまでもそうですが、日本はオーストラリア最大の輸出国ですから。
それでジュリア・ギラード首相がやって来て、宮城県の南三陸町に行った。外国の首脳で
被災地に入ったのは彼女が最初です。それはどういうことかというと、もうこんな悲惨な
状況になった田畑はあきらめて、われわれから農畜産物を輸入してくださいよという
ことでしょう。アメリカにしたって兵器を別にしたら、売れるものは
農畜産物ぐらいしかない。
日本はいまでも、トウモロコシは100%、小麦も86%輸入しています。農産物の輸入を
こんなに開放している国はない。にもかかわらず、もっと輸入しろというのは
なぜかというと、目的はコメということになります。コメの関税をゼロに
しましょうということです。日本のコメはどうしても高い。とくに東北の悲惨な状況を
見ると、米作はこれまで以上にコストがかかるでしょう。だから日本は米作をやめて
輸入してください、関税はゼロにしましょうと。
たしかに今度の震災で、今年の米作は例年どおりにいかないでしょう。しかし、
米作というのは日本人にとって特別なんです。これは日本の文化であり、伝統でもあり、
モノづくりの原点でもあります。食糧自給率40%という先進諸国のなかで最低の
数字であるにもかかわらず、コメの自給率だけはほぼ100%を守っている。
日本にとってコメの持つ意味というのは、アメリカが思いもよらないほど、日本人のDNAの
なかに組み込まれているのです。このコメ作りをやめさせようということです。
( 『この国の権力中枢を握る者は誰か』 徳間書店 )