13/03/10 21:03:31.59
<前略>
■タレブいわく「近代の日本人は時限爆弾の上に座っている」
本書では、我々がアンチ・フラジャイルになることが如何に重要か、どうすればそうなれ
るか、が説かれている。
この世の中はリスクだらけである。しかしだからといって、常にリスクを避けるように
生活していったらいずれ大きな問題を生じる危険が待っている。世界は雑菌だらけだが、
かといって正常な人間が無菌室でずっとすごしたら免疫力を失ってしまう。
飛行機は墜落事故で多くの犠牲者を出してきたが、飛ばし続けたおかげで我々はメリット
を享受できる。子どもは軽微な怪我をしていくことでリスクについて学ぶ、といったことだ。
我々はある程度のリスクに普段から直面することで、アンチ・フラジャイルになるよう
学習していくのだ。
これは特に日本人が教訓とすべきことだと思う。タレブはこう書いている。
「アメリカの強みは、試行錯誤をし続ける能力である。それに対し、近代の日本では失敗
することは恥とされるのでリスクを隠す。そのため(問題が顕在化せず)結果として時限
爆弾の上に座ることになる」(注:筆者による自由訳)
確かに日本社会はある意味、とても親切である。目先のリスクや不便さや恥を一生懸命
取り除き、我々の意識から外してくれる。
■会社が社員を守ろうとしてリスク対応力を失わせている
日本人は、通常の資本主義の国ではありえないような保護された社会で生活してきた。
これは心地よい世界である。
・多くの企業は従業員が可能な限り一生働けるように頑張ってくれる(逆に、アップル社
やグーグル社で定年まで働けると思っている人はほとんどいない)
・苦境に陥った業界や企業は、可能な限り政府が助けてくれ、負け組が作られないように
してくれる
・銀行が破たんしても、預金は(たとえ預金保険対象外の大口定期預金でも)ほとんどの
場合に100%守られてきた。そのため、我々は預金に対するリスクをほぼ意識しなくてすんでいる
・武力の行使は永久に放棄しているので、戦争は起きないはず、である
・小中学校では飛び級も落第もなく全員が平等に進級する(欧米では「むやみに進級させる
よりも学年相応の学力をつけるのが大事」とされる。フランスでは15歳以下の4割が落第している)
若い人が(不平不満を口にしつつも)海外に行きたがらないのももっともだ。しかし、
これにより人々の牙を抜き、サバイバル能力を大幅に減衰させていることも事実だ。
「終身雇用」を信じて安穏とした日々を送っているサラリーマンは、いったんリストラを
宣告されたら路頭に迷うことになる。会社が社員を守ろうとすることが、かえって社員の
リスク対応力を失わせているのだ。
タレブは、そういうサラリーマンが一番フラジャイルだという。
ソース:J-CAST
URLリンク(www.j-cast.com)
(つづく)