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日本が海外との取引で生み出す黒字が縮小し続けている。平成24年の経常収支の黒字は
前年比50・8%減の4兆7036億円と、比較可能な昭和60年以降で最少の黒字となった。
主な要因は原子力発電所の運転停止に伴い、火力発電用の燃料輸入が増えているためだ。
そこで期待されるのが、米国で増産が進む新型天然ガス「シェールガス」だ。果たして
日本の救世主となり得るか。
■日本企業が注目
「安定かつ低廉なエネルギー調達に努める」
2月6日の参院本会議。安倍晋三首相は円安に伴う火力発電燃料の輸入価格上昇への対策に
ついてこう強調し、シェールガスの輸入促進などにより、中長期的な電気料金値下げを目指す
と表明した。
日本の昨年の輸出は、景気が悪化した欧州や中国向けが振るわなかったため2年連続で減少。
一方で輸入は、停止中の原発を代替する火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)の
輸入が急増。このため貿易赤字は、これまで最大だった23年の赤字額を上回り、特に火力
燃料は経常収支の黒字幅を圧縮した要因となった。
そこで、安倍首相の答弁のように、経済界などではシェールガスへの期待が高まっている。
シェールガスは、泥土が堆積して固まった地下の頁岩(けつがん=シェール)に含まれるガス。
硬い岩石層のため、採掘が難しいとされてきたが、技術の進歩で開発が進むようになった。
原油など他の資源価格の上昇に伴ってコスト面でも採算が合うようになり、米国を中心に
生産が本格化。埋蔵量が豊富で、日本の商社やガス会社も事業に関心を示している。
■交渉の有力な“カード”
シェールガス獲得にいち早く着手した日本企業のひとつが大阪ガスだ。東京電力福島第1原発
事故後、日本向けのLNG価格は高騰を続け、同社などガス大手への影響は深刻。昨年7月、
火力発電の比率が電力会社の中でも高い中部電力とともに、米テキサス州でLNGの基地を
運営しているフリーポート社と天然ガスの液化加工契約を締結した。
このため大阪ガスなどは米国政府の許可が出れば、シェールガスをLNGにして2017年
から日本に輸入する計画だ。
大阪ガスで年間輸入量の2割超、中部電で2割近くに相当する年間220万トンの天然ガス
の液化能力をそれぞれ確保することになる。シェールガスは従来のLNGと比べて価格が
割安で資源量も豊富とされ、米国が輸出を認めると、安価なガスの調達につながると期待が
高まる。
その一方、購入費の圧縮という直接的な効果だけが目的ではないという。大阪ガス担当者が
こう打ち明ける。
「もちろん競争力の高い安いLNGを期待できるが、もう一つの狙いは調達先の多様化だ」
火力発電への依存度が高くエネルギーの安定供給という重い課題を抱える日本の事情は、
LNGなどの買い付け交渉で、圧倒的に売り手側に有利に働いている。そこでカギを握る
のが、他とも交渉中だということを示す「見せ札となるカード」(経済アナリスト)を
数多く持つことだという。(※続く)
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