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米アップルの株価は23日の第1・四半期(2012年10─12月)決算発表以降に大幅な
下落を演じているが、投資家にとってさらに重要な意味を持つのは、より広範な同社の影響力
低下かもしれない。
スマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」やタブレット端末
「iPad(アイパッド)」、パソコンの「Mac(マック)」など同社の製品は、依然として
他社から追いかけられる存在であることに変わりはない。しかし、スマホ市場でアップルの
優位性が一部失われつつある兆候も出ており、そのことは、部品メーカーや通信キャリアへの
同社の影響力が弱まる可能性を示唆している。
通信キャリアや部品メーカーの幹部からは最近、少なくとも何らかの勢力バランスの変化を
見込んでいることを示すコメントが出ている。
米携帯電話事業者4位のTモバイルUSAは、向こう3カ月以内にiPhoneの販売を
開始するが、それとほぼ同時にスマホの販売補助金を停止する。もし他の通信キャリアも
端末販売奨励金の中止に動けば、アップルにとっては逆風となる可能性がある。
米国の通信会社の多くは、顧客と2年契約を結ぶ見返りに端末価格を割り引くという
端末補助金制度を採用している。もしiPhoneの端末価格を顧客が全額負担するように
なれば、ユーザーはより安価なスマホに流れるかもしれない。
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ.N: 株価, 企業情報, レポート)のフラン・シャモ最高
財務責任者(CFO)は、端末メーカーとの交渉で通信キャリア側が以前より優位に立って
いるかとの質問に対し、アップル、アンドロイド、ウィンドウズ、ブラックベリーという
4つの強力な選択肢があることは、より競争力のある価格設定につながると回答。「(携帯
端末向け)基本ソフト(OS)が多ければ多いほど、より良い競争になる」と述べた。同社は
米携帯1位ベライゾン・ワイヤレスを傘下に持つ。
■利益率の低下
iPhoneの2012年10─12月期の販売台数は過去最高の4800万台だったが、
調査会社ABIリサーチによれば、市場シェアは今年中に22%でピークを迎え、利益率の
低い廉価版iPhoneを出さない限り、アップル愛好家のリピート需要への依存度が
高まってくる。
その一方で、同社にとって最大のライバルとなった韓国サムスン電子は、幅広い端末ライン
ナップ攻勢でスマホ最大手の座をアップルから奪った。
アップルの競合他社だけでなく、顧客や部品サプライヤーまでがアップルの影響力低下を
嗅ぎ取り、価格交渉で厳しい姿勢を取るようになれば、同社の粗利益率には一段と圧力が
かかる可能性がある。10─12月期の粗利益率は38.6%で、前年同期の44.7%
から低下した。
確かに、過去10年のアップルの躍進は目覚ましく、衰え知らずだったiPhoneの
販売台数の伸びは、通信キャリアや部品メーカーとの価格交渉で圧倒的な支配力を同社に
もたらしてきた。
しかし、先週発表された四半期決算は市場予想を下回り、株価は14%以上急落。この
ことは、アップルが現実の世界に戻り、より普通の会社に変化しつつあることを印象づけた。(※続く)
◎URLリンク(jp.reuters.com)