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くそったれとか。
IBMの人工知能「ワトソン」は、アメリカのクイズ番組「Jeopardy!」でふたりの
クイズ王を破り、世界初の人間じゃないクイズ王になりました。本100万冊分もの
知識を詰め込み、人間のクイズ王に対し勝率75%で圧勝していました(※)。
でも、そんなワトソン君にもわからないことがあったようです。それは、どんな言葉は
使って良いもので、どんな言葉は不適切かということです。
実はワトソンの開発中、研究チームリーダーのエリック・ブラウンさんはあることを
試みていました。ワトソンを人間と対話可能なマシンにするなら、今どきの若者的
言葉使いも理解すべきじゃないかと考えたのです。そしてそんな言葉の知識源として、
彼らはオンライン辞書のUrban Dictionaryを選びました。Urban Dictionaryは
Wikipediaのようにユーザーが書き込む形式で作られていて、新しい単語やその意味、
または古くからある単語でも新しい意味が発生しているものなど、のべ690万件
(記事翻訳時点)ほど収録されています。
ただ、Urban Dictionaryには若者的言葉使いが満載なだけに、その内容は上品な言葉
ばかりではなく、むしろ75%が上品とは言えない言葉で占められています。このことが
研究チームを悩ませることになりました。1月14日発売のフォーチュン誌の記事には
こうあります。
「ワトソンは礼儀正しい言葉と、Urban Dictionaryに満載の下品な言葉を区別
できませんでした。またワトソンにはWikipediaを読む悪癖もありました。
その結果テストでは、研究者が与えたクエリに対して「くそったれ(bullshit)」と
回答したことすらありました。 」
Urban Dictionaryは訳者も愛用していますが、Bullshitなんて全然かわいい方です。
最近見て個人的にへーっと思ったのは「teabag」って単語で、これには紅茶とかの
ティーバッグの意味の他に、「陰嚢を誰かの口に突っ込む」って意味があるそうです。.
..という感じで、その手の言葉がこれでもかと載っているんです。
英語学習者にとっては楽しい辞書でも、言葉の良し悪しの判断がつかないワトソン君に
とってはメリットよりデメリットのほうが大きかったようです。結局研究チームは、
Urban Dictionaryの知識をワトソンのメモリから消去せざるを得ませんでした。
コンピューターにとって、知識の量を人間より増やすことは可能でも、その知識を人間
社会のルールに沿って使うのは難しいんですね。逆に考えると、人間って賢いんですね~
●IBMの人工知能「ワトソン」
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