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米倉弘昌・日本経団連会長の“売国発言”が波紋を呼んでいる。9月27日、尖閣問題の
真っ最中に北京を訪問して中国共産党の要人と会談。会見で、「尖閣は日本固有の領土で
あり、日中間に領土問題は存在しない」という日本政府の公式見解を非難し、
「中国がこれほど問題視しているのに、日本側が問題ないというのは理解しがたい。
民間の交渉なら通らない。あまりおっしゃってもらいたくない」と発言したのだ。
日本を代表する「財界総理」が政府の見解を否定したことで、国益は大きく損なわれた
。米倉氏に対する批判が経団連に殺到しているが、当の本人はまったく反省していない。
なぜ米倉氏はかくも中国側に肩入れするのか?
「その理由は、自ら会長を務める住友化学が、対中ビジネスにどっぷりつかっている
からです」(経団連関係者)
住友化学は北京、上海、大連等に現地法人13社を持っている。このうち100%出資の
子会社が9社もある。
「外資が中国に子会社を設立する場合、重要産業では原則として50%を超える出資が
認められていない。ましてや100%出資の子会社を設立するのはかなり難しく、中国側の
優遇ぶりが目立ちます」(中国経済専門家)
2009年以降、住友化学は中国に軸足を移していく。なかでも09年以降に設立した現地
法人は6社にのぼる。中国市場へ輸出攻勢をかけるため、サウジアラビアの国営石油会社
と合弁で作った世界最大級の石油化学コンビナートを同年4月から稼働した。投資額は1兆円。
だが、中国経済の減速で需要が減退。2011年3月期に3183億円あった中国向け売り上げは
12年同期に2804億円と12%も減少した。これで住友化学は追い込まれた。
「サウジとの合弁コンビナートへ追加投資しなければ、サウジ側からも愛想を尽かされる
恐れがある。米倉会長はやむなく今年5月、5600億円の追加投資を決断した。つまり、
中国向け売り上げが回復しないことには、住友化学の経営も回復しない」(石油化学業界の首脳)
米倉氏が尖閣問題で中国に肩入れするのは、自らの経営責任を回避するため……という
見方は穿(うが)ち過ぎだろうか? (ジャーナリスト・有森隆)
(週刊文春2012年10月18日号「THIS WEEK 経済」より)
ソース
URLリンク(zasshi.news.yahoo.co.jp)