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経営不振に苦しむ半導体大手のルネサスエレクトロニクスに対して、官民挙げた再建支援策が動き出した。
政府系ファンドの産業革新機構が中心になって、ルネサス製半導体のユーザーであるトヨタ自動車やパナソニックなども加わり、
合計1000億円超を出資する方向で調整中という。
官民一体で個別企業の再建に取り組む異例の枠組みは本当に機能するのだろうか。
ルネサスという企業の存在感を図らずも浮き彫りにしたのは昨年の東日本大震災だ。
茨城県の同社の工場が被災し、半導体の生産が止まると、それを搭載する自動車や電機の生産も影響を受け、日本全体に混乱が広がった。
この経験から、ルネサスに万が一のことがあれば、国内製造業の基盤が揺らぐという関係者の懸念は理解できる。
今年2月にはエルピーダメモリが法的整理に追い込まれており、日本に半導体技術を残すには、ルネサスの再生が不可欠という意見もある。
だが、この構想にはいくつか疑問や課題がある。
ルネサスの経営不振は震災以前から続いているが、大きな理由の一つはユーザー企業の要望に忠実なあまり、
手掛ける製品群の幅が広がりすぎて、不採算の半導体が増えたことだ。
お客から言われたままに動く「下請け体質」を改め、製品の整理縮小や開発体制の見直しが必要なときに、
ユーザーが株主になって発言力を増すことは、むしろ再建に逆行しないだろうか。
もう一つはリーダーシップの問題だ。日本航空の再建に京セラ創業者の稲盛和夫氏が大きな役割を発揮したように、
企業再生には強いリーダーが欠かせない。
NECや日立製作所の半導体部門が寄り集まって発足したルネサスは、そうでなくても求心力に欠ける組織だった。
そこに革新機構などの新たな株主が加われば、船頭はますます増える。組織の混乱を防ぐには、よほど統率力の強い経営者が要る。
ルネサス支援には半導体ビジネスの経験がある米投資ファンドも名乗りを上げている。
海外顧客の開拓が今後の成長に欠かせないことを考えれば、日本という枠にこだわらず、外部の資本や人材を活用するのも重要な検討課題だ。
資金を出せば会社の延命は可能だが、カネだけでは真の再生にはつながらない。
数多くいる関係者はそのことを銘記すべきである。
URLリンク(www.nikkei.com)