12/09/08 20:12:19.62
世界中で今、IT(情報技術)やバイオなど最先端技術の特許をめぐる争いが起こっている。
そのひとつが「万能細胞」と呼ばれる人工多能性幹細胞(iPS細胞)だろう。iPS細胞
の生みの親、京都大学の山中伸弥教授に海外での特許取得の現状や特許戦略における日本の
課題などについて話を聞いた。
--米国での特許取得の難しさは
「米国は、特許において最初の発明者に権利を与える『先発明主義』を採用している
数少ない国。私たちが最初に米特許庁に出願しても、他の研究グループが『アイデアを
生み出したのは、こちらが先』と申し出れば難しい局面に陥る」
--米国では、日本の特許戦略が不利ということなのか
「特許の世界は完全に中立だとは思うが、やはりホーム&アウェイを感じざるえない。
スポーツでも実力が同じなら、ホーム側が有利で、アウェイ側が厳しくなる。私たちは
アウェイの戦いをしている」
--iPS細胞の今後の特許戦略のポイントは
「特許は山ほど取っていかなければならない。iPS細胞には、色んなステップで複数の
特許が絡んでくる。すべての特許を取得するのは不可能だが、重要な特許を数多く取ること
が必要不可欠だ」
--大学における特許戦略の課題について
「特許戦略では知財の専門家が豊富に必要だが、日本の大学ではこうした人材をきちんとした
条件で雇用できていない。優秀な知財専門家が安定した民間企業などに流れてしまい、人材が
不足している。研究者が良い論文を書いても、知財の保護を支援できる専門家がいなければ、
世界では同等に戦えない」
--特許戦略では競合する研究機関の動向を得ることも必要になっている
「情報収集のため海外でのネットワーク重要だ。海外などで興味をひく講演をすれば、
ネットワークをうまく作ることができる。日本の研究者には、自分の研究を分かりやすく
説明する能力も求められる」
【やまなか・しんや】
大阪市立大学大学院医学研究科博士課程修了。奈良先端科学技術大学院大遺伝子教育研究
センター教授や京都大再生医科学研究所再生誘導研究分野教授などを経て、平成22年から
京都大iPS細胞研究所所長。23年にノーベル賞の行方を占う賞の一つといわれるウルフ賞
(医学部門)を受賞した。49歳。大阪府出身。
URLリンク(www.sankeibiz.jp)
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