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業績悪化が深刻な日本の電機産業が外資に侵食されている。シャープやルネサスエレクトロ
ニクスは経営再建の望みを台湾企業や米買収ファンドに託したが、他のメーカーも人員削減
など大リストラを進め、貴重な人材・技術の海外流出が加速する。日本経済の屋台骨が壊滅
しかねない。
ルネサス再建の主導権を握ることになるのは、母体のNEC、日立製作所、三菱電機ではなく、
米買収ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)だった。年内にも1000億円
規模の第三者割当増資を引き受け、発行済み株式の過半を取得し、経営権を握る。
国内半導体大手では破綻したエルピーダメモリも米マイクロン・テクノロジーが支援企業となった。
シャープも台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が筆頭株主となる予定で、外資主導で立て直しを
図る構図が鮮明化している。
業績が悪化したメーカー各社が打ち出した大幅な人員削減の影響も心配だ。ルネサスが
1万2000人、シャープも1万人規模の削減を検討するほか、パナソニックが3万6000人
、ソニーやNECが1万人規模の削減を打ち出した。希望退職も実施され、NECはすでに
40歳以上の社員2393人が9月末で退職することが決まっている。労働組合「電機・情報
ユニオン」の集計では、昨年以降77企業で12万人を超えるリストラが計画されているという。
気になるのはリストラされた社員の行き先だ。東レ経営経済研究所シニアエコノミストの
福田佳之氏は「リストラされた人員を吸収できる技術や産業が育っているかが問題だ。
いま日本で伸びている介護や医療系などのサービス産業は総じて賃金が低く、メーカーの
技術者が転職しても同じ賃金を手にすることは難しい」と指摘する。
技術者にとって今と同じかそれ以上の賃金を得る可能性があるのが、海外メーカーへの移籍だ。
「日本の技術者を韓国や台湾、中国メーカーが狙っている。韓国や台湾勢が強くなったのは、
2000年代初頭に日本メーカーにリストラされた技術者の働きも大きい。今回のリストラで
海外勢がさらに強くなり、日本勢が打撃を受ける“ブーメラン現象”が再び起こるのはないか」
と福田氏は懸念を示す。
人材が流出すれば技術流出も免れない。「“枯れた技術”とされる白物家電にこそ日本企業は
独自の技術やノウハウを持っている。一度失われると取り戻すのは困難」(家電担当アナリスト)
負のスパイラルから脱する方策として、前出の福田氏は「日本の強みであるサービスと製造業を
組み合わせるなど、他国が簡単にまねできない輸出産業を育てるべきで、政府や自治体による
支援も必要だ」と提言する。
外資の草刈り場になる前に、一刻も早く手を打つ必要がある。
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