12/08/26 11:54:08.54
群馬県桐生市の工事現場で今月、アルバイトの栃木県足利市立西中学校3年、石井
誠人さん(14)が事故死した。労働基準法は中学生の就労を原則禁じるが、
学校は就労を容認し「職場体験」と位置づけていた。学校側は「教育的配慮」を
主張するが「生徒指導の放棄」とも映る。中学生の死を追う。
「陸上部に所属し、体育が得意」「授業中にAKB48の歌を歌ってみんなを笑わせる子」。
同じ学校の生徒が石井さんを語る言葉からは「少しやんちゃだが、どこにでもいる中学生」の
姿が浮かぶ。
群馬県太田市の建設会社で石井さんが働いていることを学校が知ったのは7月26日。
前日に教頭が親友の同級生と作業服姿で歩く石井さんを見かけた。5月中旬から土曜日に
働いていたことを認め、夏休み中は平日も働きたいと願い出た。
この同級生は5月下旬から平日も授業を休み、同じ会社で週4日働いていた。学校は学習活動の
一環の「職場体験」と認定していた。このため学校は石井さんについても発覚時点で「職場体験」
と事後承諾した。
学校は同級生の「職場体験」を認めた理由を「『(学校になじめない)今のままの生活を続ける
くらいなら働いてほしい』と保護者から強い要望があった」と説明する。岩下利宏校長は足利市
教委を通じ「働く体験を通して自信を持たせたかった。職場体験も本人にとって大切だと考えた」
とコメントした。
学校と会社には以前からつながりがあった。
社長(45)は02年以降、足利市内の4中学から石井さんらを含め17人をアルバイトとして
受け入れていた。社長によると、多くは授業になじめないなどの問題を抱えていたといい
「違法なのは分かっているけど、本人が働きたいと言い、親とか学校に頭を下げられたら
断れなかった」と話す。一つの問題点が浮かぶ。
教育活動である職場体験に賃金は発生しないが会社はこれまで賃金を払い続け、石井さんや
同級生にも日当5000円を渡していた。社長は「学校や保護者もすべて承知していたはずだ」
と言う。
これに対し学校は、6月8日に行った同級生と保護者との三者面談で「賃金は請求できない」と
指導したと説明。一方で、同22日に校長と担任が会社へあいさつに訪れた際は賃金の話は
しなかったという。足利市教委は「もらっていないことが前提で確認もしなかった」と話すが、
追認を繰り返していただけとの批判は免れない。足利市教委も学校から事故前に「職場体験」
実施の報告を受け、追認しただけだった。岩田昭教育長は「労働基準法と就学の義務に関する
押さえが甘かった」と反省を述べる。
中学教師の経験がある鳴門教育大の阪根健二教授(学校教育学)は「就労先の実態把握が甘かった」
と学校の問題点を指摘。「今回のような命にかかわる場合は、保護者にも『本当に大丈夫なのか』
と強く再考を促すべきだった」と話す。(※続く)
◎URLリンク(mainichi.jp)