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【東京】テクノロジー・アナリストのマイケル・ガーテンバーグ氏がソニーのリブリエという電子書籍リーダーを初めて見たのは、2004年に日本に出張したときのことだった。
世界で最初にE Ink方式(電気泳動方式)の電子ペーパーを表示部に使った製品だった。
ガーテンバーグ氏は感動した。リブリエは、これから米国に訪れるであろうトレンドを先取りしていた。
だがこの製品にはいくつかの問題点があった。ソフトウエアが日本語で、書籍の数が少ないうえ、パソコンを使わないとダウンロードできなかった。
そして今日、世界の電子書籍リーダー市場を支配しているのはアマゾン AMZN +0.84% のキンドルで、リブリエのことを覚えている人はほとんどいない。
ソニーは追い上げを図っているが、世界市場でははるかに水をあけられた第3位の地位に甘んじている。
これは過去20年間、かつては世界市場で支配的地位にあった日本の電子機器企業を巡って繰り返されてきた物語だ。
日本の企業は薄型テレビから高機能携帯電話に至るまで、ハードウエア面のブレークスルーを起こし、競合他社を負かしてきた。
だがどのケースでも、外国の競合他社が製品を素早く改良し
、簡単に使えるソフトウエアやオンラインサービスを組み合わせ、より賢明なマーケッティング手法をもって市場に乗り込むことで利益を上げてきた。
日本の定評ある電子機器メーカーの1つ、シャープ JP:6753 -12.44% は厳しい手元流動性不足と株価低迷と格闘するかたわら、
これら外国勢の攻勢に揺さぶられることになった。ソニーは4年間の赤字経営が続いた後、あらたなリストラ策に取り組んでいる最中だ。
またパナソニックはテレビ事業を縮小し、二次電池などの環境エネルギー事業に軸足を移している。
パナソニックの都賀一宏社長は6月、社長就任会見で「(日本の企業は)あまりにも技術やものづくりに自信を持っていたがために、
お客さま視線で端末という商品を十分に見ることができなかった」と語った。
パナソニックは前年度、94年の歴史で最悪規模の赤字決算を出していた。
ソニー、シャープ、パナソニックの3社は2012年3月期決算で、合計約1兆6000億円の赤字決算となった。
日本企業が世界の家電市場を支配し始めていた70年代後半から80年代前半の輝かしい時代とは隔世の感がある。
当時は、日本経済が活況を呈するに伴い、これらの電気大手コングロマリットはメモリーチップ、カラーテレビ、ビデオレコーダーなどの市場で覇者となっていった。
同時にこれら企業の研究室ではその時代を特徴づける機器が生まれていた。ウォークマン、CD、それにDVDプレーヤーなどだ。
だが今や日本の電子機器メーカーは米国のアップルやグーグル韓国のサムスン電子の後追いをしている。
日本企業が今抱えている弱みは、伝統的な強みに根差している。つまりハードウエアの向上に焦点を絞った「ものづくり」への固執だ。
このコンセプトは国の誇りでもあるが、日本の電子機器メーカーを世界で最も薄くて小さい製品や、
他の改良点が加えられた製品の製造へと駆り立て、消費者が本当に望んでいるデザインや使いやすさといった要素の軽視につながった。
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