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1週間前の8月2日。東京都内で開かれた緊急会見で、シャープの奥田隆司社長は厳しい表情でこう切り出した。
「今のアクオスというテレビそのものでは、日本での生産継続はない。新しいテレビを生み出すのが体制見直しの目的だ」
テレビの国内生産を続けるため、次世代テレビの開発に注力する考えを示したが、
これを聞いた元韓国サムスン電子常務で、
東京大学特任研究員の吉川良三氏は「次世代テレビは韓国や米国が規格作りでリードしており、
太刀打ちするのは容易ではない」と先行きを懸念する。
シャープの業績悪化の主因は薄型テレビと液晶パネルの価格下落だ。その予兆は6年前にあった。
平成18年8月、シャープは第8世代と呼ばれる大型液晶を製造する亀山第2工場(三重県亀山市)を稼働させた。
月産3万枚(1枚で40型8枚分)の生産能力を誇る当時、世界最新鋭の設備である。
技術流出を恐れ、同社はパネルの国内生産にこだわった。
「シャープの最大の誤算はグローバル展開を完全に見誤り、国内生産に力を入れてしまったこと」。
吉川氏はこう話した上で、「世界の市場で戦うならば、海外で生産すべきだった」と指摘する。
その後、液晶パネルの市場価格はジリジリと低下した。
20年7月にはテレビ用32型パネルが300ドルの大台を割り、
同年9月にはリーマン・ショックが起きた。
通常ならば、クリスマス・年末商戦に向けて上昇するはずの液晶パネル市況は需要の低迷と供給過剰があわさって急降下。
シャープは21年3月期連結決算で1258億円の最終赤字に沈んだ。
パネルを海外でも生産するよう方針を転換したのは21年4月になってからだった。
シャープは24年3月期決算で981億円の在庫評価損を計上したが、大型液晶などを生産する堺工場(堺市)については、
台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループとの共同運営にすることで減損処理を回避した。
しかし、同工場の今年4~6月期の操業率は30%程度に低迷。7~9月期以降は80%以上を見込むものの、
鴻海によるパネルの引き取りやシャープの外販先の確保が滞れば、巨額の減損は避けられない。
経営不振に陥ったシャープは主要取引銀行に支援を求めており、銀行側も追加融資を検討中だ。
ただ、財務健全性を示す自己資本比率は今年3月末時点の24・6%から6月末には18・9%まで急落。
銀行にとっては、シャープの事業成長の道筋が見えない限り、
同社に対する融資の格付けが下がり、銀行自身の自己資本比率の悪化につながる。追加的なリストラを求められるのは必至だ。
2期続けて2千億円を超える巨額の赤字に落ち込む見通しのシャープ。業績悪化を招いた「誤算」について検証する。
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