12/07/23 09:05:29.25
ロンドン五輪まであと1週間足らず。通常、五輪開催国は個人消費ブームなどに沸くのだが、
英国経済は暗い。英実質国内総生産(GDP)伸び率は昨年第4四半期、今年第1四半期と
2連続で前期比マイナスに落ち込んだ。ユーロ危機の余波による、とみるのが一般的のようだが、
ユーロ圏のフランスより景気は悪化し、マイナスの度合いはスペイン並みである。
どうやら主因は、2011年1月から実施した付加価値税(消費税に相当)増税に行き着く。
キャメロン保守党・自由民主党連立政権による緊縮財政は付加価値税率17.5%の
20%へのアップのほか、株式などの売却利益税の増税、子ども手当など社会福祉関連の
予算削減にも踏み切った。
付加価値税収は増税前の10年には前年比30%前後の増収となっていたが、
増税後の11年4月以来、マイナスに落ち込んだままだ。増税前の「駆け込み消費」が発生し、
増税後はその分が剥げ落ち、消費が減ったとみなす向きもあるが、肝心なポイントを外している。
増税を機に、消費者の心理はリーマン・ショック直後並みに冷え込んでいる点だ。
英国の「消費者信頼度指数」(2004年5月=100)は付加価値税率引き上げ後の
11年2月には前年比52%減と落ち込んだあともマイナスが続き、今年初めにいったん
下げ止まった。そのあと、再び下がり始め、この5月、40.9まで下がった。
前年同期の水準に比べ28%のマイナスである。
税の減収は付加価値税にとどまらない。
所得税や法人税収は11年4月あたりから伸び率が鈍化し始め、今年3月からとうとう
前年比マイナスに落ち込んでしまった。付加価値増税に心持ち程度に合わせた所得税と法人税の
実質減税の影響がないわけではないが、個人消費の落ち込みに伴う景気後退がより強く反映した
とみるべきだろう。
中央銀行であるイングランド銀行は昨年秋から、ポンド札を大増刷して国債を買い上げる
量的緩和(QE)政策を再開し、今年5月の資金供給残高(マネタリーベース)は
リーマン前の3.7倍と、米QEをしのぐ水準に達した。
ポンド相場はユーロやドルに対して上がらずに済み、長期金利も下がってきたが、
下降局面に突っ込んだ実体景気は浮上しない。いわば、ブレーキをかけたままアクセルを
踏み込むようなものだ。
日本では1997年4月に消費税率を3%から5%に引き上げた翌年からデフレ不況に陥り、
現在に至る。
もともと今回の日本の消費増税は「英増税に倣え」、という財務官僚にそそのかされた
菅直人前政権や大手メディアが前のめりになったのがきっかけだ。英国の大失敗が明白になっても
野田佳彦首相はまったく意に介さず、日本のメディアの多くももっぱら華やかな祭典の取材合戦に
血道を上げるのが、何とももどかしい。(産経新聞編集委員 田村秀男)
ソースは
URLリンク(www.sankeibiz.jp)
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dat落ちしていますが、関連スレは
【財政】イタリアの増税が裏目 付加価値税率1ポイント引き上げたら税収減少 緊縮策強化で[12/06/13]
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