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教育における競争が議論になっているが、一時の法科大学院人気、最近の医学部人気、
公務員人気に見られるように、国民は競争より保障を求めているように見える。
しかし、優れた人材を、よりイノヴェーティブな仕事に配置しない限り、日本の国力は
低下してゆく。 ここでは、前記事に引き続き、日本をより競争的にする必要性について
述べたい。
■国際間の競争が見えない日本
日本は、第二次大戦後から90年台初めのバブル崩壊までの長い期間、多少の波はあっても
経済は拡大を続けた。この期間、もちろん国民の間に競争は存在したが、実際には経済
成長は、熾烈な競争を緩和していた。 1962年植木等が歌ったドント節の「サラリーマン
は気楽な稼業ときたもんだ」という歌詞などはその象徴だろう(当時は大学進学率は20%
程度で、大卒はエリートだった)。
受験戦争は、あっても、一流大学から大企業に就職することで、将来の生活が保障されて
いる時代でもあった。そして現在まで戦争に巻き込まれることなく過ごして来た、歴史的
に見ても非常に長い平和の時期である。
ところが、新興国の台頭によって、現状は様変わりしている。 日本の基幹産業であった
製造業は急速にその国際競争力を失いつつある。かつて優位性のあった日本の技術は、
現在はその優位性は、ほとんどなくなった。日本人技術者の流出も止まらない。サムスン
グループは韓国国内に200人近い日本人技術者を抱えていると言われる
日本は島国である。ヨーロッパのように隣国と国境を接していないのと、外国人が非常に
少ない特殊な国のため、他国との競争が直接見えない。そのため、危機感を共有しにくい
。そのために、電機業界を始め、日本の製造業が現在のように国際競争力を失って来て
いる状態でも、「一億人以上の人口がある国だから、内需主導の成長がまだまだ可能だ」
といった幻想に囚われ勝ちである。
しかし、現状の日本経済を冷静に観察すれば、高齢化による、生産年齢人口の減少は避け
ようがなく、今後の日本経済の実質成長率は、平均すれば0.0%から0.5%程度と考えられ
る。 従って、かなりの増税をしなければ、10年といった長いスパンで考えれば財政破綻
を避けることすら容易ではない。
■過去の成功モデルから抜け出せない
最近、進学校の医学部志望傾向が強まっているようだ。 6年前、名古屋近郊の進学校、
東海高校を卒業した知人(東大卒)に聞いたところでは、彼のクラスの彼ともう一人以外
は、全て医学部志望だったそうで、彼自身驚いていた。
医学部は、かなり以前から人気があったが、今は一層拍車が掛かっているらしい。
これは、無理からぬことで、日本経済が不振の現在、比較的、安定した収入が見込める
職業として、医師が人気を博すのも良く分かる。
しかし、これで良いのだろうか? 医学は確かに大事だが、正直なところ、基礎研究以外
の医療に於いて、圧倒的な頭脳が必要だとは思えない。むしろ人格や、手先の器用さ、
といったものが大事なのではないだろうか。資源のない日本で、優れた頭脳が、将来の
保障を求めて、医者や公務員といった職業に集中するというのは、より一層、日本の衰退
を早めることになるだろう。
ソース
URLリンク(blogos.com)
(つづく)