12/07/03 15:59:37.84
>>1より
国際金融市場で巨大な地殻変動が起きた場合、グローバルなマネーフローが「逆流」を起こす傾向があることを勘案すると、
欧州ソブリン危機の深刻化に伴い警戒すべきは、米国債安、国内債券安、新興国株の下落、ユーロ安の4点であろう。
第一に、日本、アジア、英国などからの米国への資金流入が細れば、「米債券安」のリスクが生じる。
第二に、英国から日本への巨額のマネーフローが「逆流」を起こすと、「円債相場の下落(=長期金利の上昇)」が懸念される。
第三に、米国資本が「リスクオフ」の動きを強めると、中南米、アジア、
オセアニアなどに向けたリスクマネーが収縮し「新興国株の下落」が懸念される。
第四に、米国とユーロ圏の間のマネーフローが「逆流」すると「ユーロ安」が進行する可能性がある。
上記の4つのリスクの中で、第三、第四の動きはすでに一部で顕在化している。
したがって、今後の最大のリスク要因は、日米両国における長期金利の上昇(=債券相場の下落)に他ならない。
すなわち、信用不安が極限に達すると、これまで「安全資産」と思われてきた、
米国や日本の国債までもが売り浴びせられる可能性が生じる。この場合、逃避資金は、現金として保有されるか、
金を中心とする貴金属の市場に流入し、世界的な金融市場の混乱が過ぎ去るのをじっと身を潜めて待つことになるだろう。
今後、日米両国で長期金利が急上昇(=債券相場が暴落)し、グローバルな金融市場が大混乱に陥るか否かは、
欧州ソブリン危機の動向次第であると言っても過言ではない。
言い換えれば、政策当局の対応次第である。
具体的には、
1)金融システム危機を防止する「安全網(セーフティネット)」の整備、
2)各国の「財政主権」に切り込む形での構造改革、
3)将来的な「財政統合」まで視野に入れた「欧州共同債」の発行やドイツからの財政移転、
などを実現できるか否かが、欧州ソブリン危機の沈静化の鍵を握っているのだ。
*熊谷亮丸氏は、大和総研経済調査部チーフエコノミスト。
日本興業銀行(現みずほFG)、興銀証券(現みずほ証券)、メリルリンチ日本証券を経て、2007年に大和総研入社。
2002年―2011年、財務省「関税・外国為替等審議会」専門委員。東京大学法学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here)
*本稿は、個人的見解に基づいています。
以上です。