12/06/05 00:44:37.29
>>1より
<ユーロはあと10年持たないだろう>
では、ここでまず現在最大の火種となっているユーロについて、持論を述べておきたい。
実は私はかねてよりユーロ懐疑論者だった。
1999年にユーロが導入されるまでは独マルクや仏フランなど欧州各国の通貨や
国債をそれなりに取引していたが、発足後はいっさい止めた。
理由は、純粋に上述したようなユーロという地域固定通貨制度が持つ構造問題に対する懸念からである。
もちろん、私は評論家ではなく、ディーラーだったので、
欧州統合への過信というある種のユーフォリズムを背景に通貨ユーロが
かなり強くなる前に買っておいて、いいところで売るべきだった。
その点では、ディーラー失格だ。しかし、ギリシャ危機を経て、私の懸念が正しかったことは証明されたと思う。
話は脱線するが、北海道夕張市の財政問題が世間で大きくクローズアップされた頃
同市は2007年3月に財政再建団体に指定され、事実上財政破綻)、
当時大学生だった息子からこう聞かれたことがある。
「東京都と夕張市には経済格差があり、同じ円という通貨を使っている。
しかし、ユーロ圏とは違い、夕張市の財政問題が円の崩壊懸念につながることはない。
円とユーロでは何が違うのか」と。私は、こう答えた。
「夕張市が破綻しても、東京人の税金で助けることができる。財政が一つだからだ。
しかし、国が違う(=財政が一緒ではない)ユーロ圏ではそれは無理だ」。
今まさにこの問題がユーロを直撃している。
ドイツとギリシャが一つの国ならば、ギリシャの財政問題がユーロの崩壊懸念にまではつながらない。
しかし、そうではないから問題なのだ。
私の予測に反して、ユーロ圏が財政まで一つに統合すれば、ユーロ崩壊はないだろうが、
本当にそんなことが可能だとは思えない。
となれば、率直に言って、現在の体制のままであと10年ユーロが持続することは難しいだろう。
むろん、その過程では、ユーロ中核国からなる「ティア1」と、
出たり入ったりするトレーディングパートナー的な位置づけの「ティア2」からなる二層構造への
移行が図られるなど弥縫(びほう)策も模索されるかもしれないが、最終的には持ちこたえられないだろう。
当然、ユーロ崩壊は、とてつもない衝撃とストレスをマーケットや世界経済に与えることになると予想される。
1971年のニクソン・ショック(金ドル交換停止など)をも凌ぐ混乱をもたらすのでないか。
ただ、長い目で見れば、ユーロ圏各国とも自国通貨の復活によって、
景気が弱くなれば通貨が安くなり景気を押し上げる、
逆に景気が過熱すれば通貨が高くなり景気を押し下げるといった
自国経済の自動安定化装置を取り戻すことができるわけで、得策であるはずだ。
むろん、観光業以外にたいした産業のないギリシャの場合、
ユーロから自国通貨ドラクマに切り替えたときの打撃は甚大だろう。
ドラクマの価値が急落し、ハイパーインフレに陥り、欧州の最貧国へと転げ落ちるのは必定だ。
しかし、歳月を経て、やがては通貨安を武器に頼みの綱の観光業などが牽引し経済が復活していくはずだ。
その結果、ドラクマの価値も上がっていく。市場原理とは、そういうものである。
続きます