12/06/05 00:44:26.36
藤巻健史 フジマキ・ジャパン代表取締役
私は、自他ともに認めるマーケットパーソン(市場人間)である。
したがって、今から語る内容は、理論家としてではなく、
実務家として培った知識や経験に基づく見解であると理解していただきたい。
<世界はまだ真の変動相場制に移行していない>
まず私の率直な問題意識を伝えれば、現在の世界の為替市場は根本的な問題を抱えており、極めて危うい状態にある。
なぜ危ういかと言えば、変動相場制が採用されていないか、
もしくは機能していない国や地域が多く、為替レベルと実体経済との乖離(かいり)が発生しがちだからだ。
乖離すればするほど、そのギャップというか、「おでき」は膨らみ、
それが破裂したとき、マーケットや世界経済に走る衝撃のスケールも増大する。
目下の最大の懸念は「地域固定相場制」のユーロだろう。
固定相場制の最大の弱点は、各国の中央銀行に独立した金利政策の放棄を強いる点にある。
経済格差のある多くの国々の間で金利政策を放棄すれば、
経済運営がうまくいくはずがないのは自明の理なのに、欧州諸国は「壮大な実験」という名のもとに、
失敗のリスクが高い大冒険に乗り出してしまった。
詳しくは後述するが、ギリシャ問題を導火線として、ユーロは崩壊への道をたどる可能性が高いと考えている。
次に、安い通貨を武器に輸出主導で急成長を遂げた中国も、
その為替制度は変動相場制に程遠い。円の高騰に伴い国力を低下させていった日本を反面教師として、
実態に合わない通貨高の不利益を学習したのか、
米国や国際社会がいくら切り上げを要求しても、お茶を濁す程度しか切り上げない。
人民元の水準は、今や実体経済に対してあまりに安すぎる。
固定相場制維持のための資本移動規制にも限界がある。
仮に中国のおできが破裂して、大きな調整が一気に進むようなことになれば、世界経済混乱の火種となるのは必定だ。
また、変動相場制を採用しているようで、実はそれが機能していない国もある。
日本はその典型例だ。
為替とはそもそも国力の通信簿であり、国の力が強くなれば通貨も強くなり、
弱くなれば通貨も弱くなるはずなのに、円は1985年の「プラザ合意」以降、
多少のブレはあるものの、経済ファンダメンタルズに関係なく一貫して強くなっている。
1981年と比べると、人民元がほぼ4分の1になったのに対して、円は2.7倍になった。
まるで「円高という固定相場制」だ。企業が海外に工場を移し、日本人が職を失うのも当然だ。
このように多くの国や地域で、為替レベルが経済実態に合っておらず、おできが膨れ上がっている。
ユーロ危機を見ると、それがついに破裂する瞬間が近づいている気がする。
続きます>>2-5
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