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「停電テロ」―元経済産業省官僚の古賀茂明氏がテレビ番組で放ったこの言葉が、
ネットを中心に批判されている。確かに、そのまま聞けば不穏当な言葉ではある。
だが、そこにはこんな真意があった。
政府が昨年7月に発表した「2012年夏の電力需給見通し」。原発が稼働しなければ、
関西電力管内では19%の電力不足になるというもの。当時、「根拠薄弱な数字で
いたずらに不安を煽(あお)るな!」と強く批判された。
そして、今年4月、関西電力と政府は、この夏の電力不足は16%になるとの見通しを
出して、これまでの9ヵ月でほとんど状況が改善していないことを示した。しかもその後、
不足の数字は日を追うごとに縮小、本当のことを言っているのかと疑う声が上がった。
一方、昨年に計画停電、電力使用制限令を出すなど極めて厳しい状況だった東電管内。
今年の夏の見通しは、なんと原発なしでも4.5%の余剰が生じるという。東と西で
なぜこんな違いが生じるのか。
もともと、経済産業省の原発推進官僚も電力会社も一貫して全原発を再稼働させたいと
考えていた。天下りや巨額の予算などの原発利権を守るためだ。これまで“原子力村”は、
政治家も学会もマスコミもカネや脅しでねじ伏せるということを続けてきた。今回も
彼らはそのやり方で乗り切れると考えていたのだろう。
現に、今年1月、2月に経産省周辺から聞こえてきたのは、3月11日が過ぎれば
「喪が明ける」という声だった。3月中の大飯(おおい)の再稼働決定に疑いを持つ者は
ほとんどいなかったようだ。だからこそ、関電はこの夏の対策など真面目に考えてこなかった。
ところが、政府・関電の目算はまったく狂ってしまった。橋下徹大阪市長らの反対で
世論が完全に再稼働反対で固まってしまったのだ。
仙谷由人(せんごく・よしと)と政調会長代行の「(原発再稼働がなければ)日本人は
集団自殺だ」という発言に始まり、あらゆる手段で「電力不足の危機」を煽ったのだが、
その間も関電の危機感はゼロ。需給対策は進んでいなかった。
それを示す典型例が「はぴeポイントクラブ」だ。
これは、電気の使用量に応じてポイントがたまり、ホテルの宿泊券などの景品と交換できる
というもの。節電とは真逆の、電力使用を促進するキャンペーンだ。電力危機だ!と叫ぶ
のなら、直ちにこのサービスは廃止だろうと思って、関電に聞いてみると「廃止も含めて
検討します」。決してやめると言わない。関電としては、大飯が動けば廃止なんて必要ない
ということなのだ。
東電との比較で問題にされたのは、緊急電源の設置努力だ。東電は火力発電の上積みのため
必死に小型の発電機を調達した。ちりも積もれば山となる。これまでに200万kWを超える
電力を確保した。
一方、関電が調達したのはたったの2万kW。ふた桁違うのだ。東電は余裕が出てきたので
3月末でリースを受けていた25万kWの発電設備をアメリカの「ゼネラル・エレクトリック
(GE)」に返したそうだが、それを関電が借り受けることにすればいいのに、今頃交渉中
という。もし、去年から本気でGEにお願いに行っていればとっくに契約が成立していただろう。(※続く)
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