12/05/30 15:33:01.00
SNS大手のミクシィに身売り話が持ち上がっている。
一部報道機関が、「笠原健治社長が保有する55・1%の株式について、ミクシィが
複数企業に売却を打診し始めた」と報じた。ミクシィはすぐさま「報じられている
事実はない」との否定コメントを発表。社外取締役を務める中村伊知哉・慶応義塾
大学大学院教授は、自身のツイッター上で「ウソです」と断言した。
競合他社を含む複数の関係者も、「身売り話は以前からある。ただ、現時点で入札が
行われる予定はまったくない」と否定する。
とはいえ、ミクシィの経営は身売り説がさもありなんと思われるほど混乱している
のは事実だ。
象徴する出来事が、5月11日に発表された、“人事異動”。副社長の原田明典氏が取締役
に降格、取締役の小泉文明が退任し、顧問に就任するというもの。2008年1月にNTT
ドコモから転じた原田氏は、10年7月からは代表権を持つ副社長兼COOとして笠原社長
を支えてきた。06年12月に大和証券キャピタル・マーケッツから転じた小泉氏は、
その原田氏に次ぐナンバー3だった。
笠原社長は「2人からそうしたいとの申し出があった。意思決定の迅速化を図るため
であり、ネガティブではない」と話す。ただ、2月時点で原田氏はCOO、小泉氏は
CFOの職を辞しており、今回の人事異動の伏線はあった。取締役にとどまった原田氏
も早晩役職を退く可能性が高い。最高幹部2人の離脱は、笠原社長の求心力の低下を
示している。
■冴えない業績、迫るFB
ミクシィを取り巻く環境は厳しい。12年3月期は34・9%の営業減益となった。13年
3月期は0・3%~27・6%の営業増益の計画を立ててはいるものの、主力だった広告
収入は80億円から50億円に縮小する。ゲームなどの課金収入を増やすことで補う予定
だが、成長してきたソーシャルゲーム市場の変調で不透明感が増している。
広告収入が落ちる理由の一つは、従来型携帯電話からスマートフォンへの移行に対応
できていないため。もう一つは、ユーザー数の伸び悩みにある。パソコン経由の月間
ログインユーザー数は11年6月にフェイスブックに抜かれた。携帯を含めた全体でも
今年中に抜かれる見通しだ。
戦略ミスもある。10年3月に「招待制度」から「登録制度」に転換。11年6月には
誰が自分のページにアクセスしたかがわかる「足あと機能」を実質的に取り払った。
09年8月からはゲームなどのアプリサービスを順次導入してきたが、これにより、
従来の“売り”だった日記を中心としたコミュニケーションが希薄化し、他社サービス
との立ち位置があいまいになった。(※続く)
◎週刊東洋経済2012年5月26日号
記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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