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関西電力大飯原発の再稼働なしを想定して、夏の節電目標を「2010年度比で
15%以上」とする。関西の2府5県と大阪市など政令指定都市でつくる関西
広域連合が、この政府決定を受け入れた。
野田首相は近く再稼働について最終判断する見通しだ。広域連合は安全性に
強い疑問を抱いている。もっともなことだ。原発なしで夏を乗り切るため、
関西の自治体は実現可能な節電量のとりまとめを急ぐべきだ。
大阪府と大阪市は専門家らによるエネルギー戦略会議で、需給対策の検討に
入っている。
電力消費が高まる午後1~4時に休憩時間をとるよう、企業などに促す案も
出ている。家庭のエアコン使用を減らすため、割引・無料化で公共施設に
多くの人に集まってもらう計画なども検討中だ。
滋賀県は中小企業が社内の照明などを消費電力の少ないものに切り替えた場合、
200万円を上限に経費を助成する。兵庫県は昨年に続きサマータイムを検討
している。
産業界では、間引き運転を検討する鉄道会社や、生産の前倒し、生産拠点の
移管に動き出した大手企業もある。
関西での節電要請は昨夏、今冬に続いて3度目だ。この夏の需給予想はこれまで
以上に厳しく、他電力からの融通にも頼らざるをえない。
関西広域連合に求められるのはまず、実行可能な自主的節電量を積み上げ、目標
達成の見通しを立てることだ。
そのうえで、どうしても需給に開きが残るとすれば、強制力のある措置で消費を
抑えることも検討すべきである。
19日の関西広域連合と細野豪志原発相らとの会合では、大飯原発の再稼働に
ついて、首長たちと政府の間の溝の深さが改めて浮き彫りになった。
山田啓二・京都府知事や橋下徹大阪市長らは、国の原子力安全委員会ではなく
政治家の判断に頼ることに疑念を表明した。
広域連合は最高水準の安全基準、大事故時の防災計画など6項目を政府に申し
入れた。野田政権がきちんと答えていないことにも不信感を募らせている。
朝日新聞の世論調査でも、大飯原発の再稼働に54%の回答者が「反対」と
こたえている。
広域連合は近く、大飯原発の再稼働の安全性に対する懸念を政府に文書で
正式に伝える。
こうした中で再稼働を強行するのは無理だ。野田首相はむしろ、節電支援の力点を
関西におくなど、広域連合との協力に積極的に動くべきだ。
◎朝日新聞 関西15%節電―自治体が先頭になって
URLリンク(www.asahi.com)