12/05/16 10:02:21.40
沖縄が日本に復帰して40年を迎えた。
ハイビスカスやデイゴが咲く亜熱帯の気候、赤瓦の街並み、ゴーヤチャンプルー、
ドミファソシ5音階の琉球民謡。本土と異なる文化・習俗は私たちの日常風景にすっかり溶け込んだ。
復帰時に95万人だった県民人口は昨年、140万人を超えた。出生率は全国一。
近年は本土から毎年2万人前後が移り住む。
毎年500万人超の観光客が訪れ、中国などから来る外国人も昨年度は30万人を突破した。
もちろん40年前に掲げた「本土並み」という目標にはまだ遠い。
1人あたり県民所得はようやく高知県や宮崎県に追いつくところまで来たが、
これまでに投入した10兆円超の振興予算に見合った成果とはとても言い難い。
建設業が主力のいびつな経済構造はなかなか改善されない。
本土ではもはや考えられない公共事業の大盤振る舞いが続くのはなぜか。
国は表向きは関連を否定するが、米軍基地を負担することへの見返りなのは明らかだ。
米軍がじかにかかわる「基地経済」は40年間で半減した。
しかし広い意味での基地依存はむしろ深まっているとみることもできる。
どうすれば沖縄経済は自立できるのか。政府は使途を県が判断する一括交付金を創設した。
次期振興計画の主体も国から県に移す。
計画には国際物流拠点の整備や企業のデータセンターの誘致などの構想が並ぶ。
政府には今度こそ本腰で取り組んでほしい。
沖縄側にも国任せにしない主体的な努力が求められる。
稲嶺恵一前知事は「必要なのは釣った魚のお裾分けではなく、自力で獲物を捕れるようになるための釣りざおだ」と語る。
中国の海洋進出などで尖閣をはじめ琉球列島の戦略的な価値は一段と高まりつつある。
安易に米軍基地を減らせば沖縄県ひいては日本の安全保障を損ないかねない。
日米同盟の安定には暗礁に乗り上げた普天間基地の移設問題の解決も重要だ。
とはいえ在日米軍の施設の多くが沖縄に集中する現状を放置してよいわけではない。
40年前の復帰記念式典。当時の屋良朝苗知事に笑顔はなかった。
「復帰の内容を見ますと、私どもの切なる願望がいれられたとはいえない」と嘆いた。
この苦渋の声に日本全体がもう一度耳を傾けるときだ。
URLリンク(www.nikkei.com)