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外国資本による森林の買収が拡大している。
林野庁と国土交通省がまとめた2011年の買収実績は157ヘクタールで、前年の約4倍に増加した。
06年からの累計は、7道県で785ヘクタールに及び、北海道が全体の9割以上を占めている。
読売新聞が今春、都道府県を対象に実施した調査では、買収面積は計1100ヘクタールに達し、政府の統計を大きく上回った。
中国企業などが、仲介する日本企業の名義で買収する事例も表面化しており、調査結果は「氷山の一角」に過ぎないだろう。
懸念されるのは、買収案件に地域の水源にかかる森林が多く含まれていることだ。
利用目的がはっきりしないケースもある。水源地が乱開発される事態になれば、住民生活が脅かされかねない。
外国人の土地保有を認める欧米でも、水源地周辺は所有や開発を規制している国が多い。
政府は、水源地の売買や保有の実態を十分把握し、保全のために必要な規制を検討すべきである。
4月に施行された改正森林法は、従来は対象外だった1ヘクタール未満の森林売買についても取得後の届け出義務を課した。
一歩前進ではあるが、事後に取引を把握するため、十分とは言い難い。
北海道と埼玉県は4月施行の条例で、水源周辺の土地取引には事前の届け出を義務付けた。
山形、群馬など4県も同様の条例制定を検討中という。
自治体が独自の防衛策に乗り出したのは評価できる。事前に動きを把握できれば、自治体の買い上げなど対抗策も可能になろう。
ただ、日本の法制度では、土地取引自体は規制できず、条例が有効かどうかは不透明だ。
一方、外資の誘致が地域経済の活性化に果たす役割は、小さくない。
外資への警戒感をいたずらにあおるのではなく、行政の目が届かない山林取引を放置しないようなルール作りが必要だ。
水源林など守るべき土地を明確化し、そこでは特例的に取引を規制する法整備が求められる。
水源林保全は国の安全保障上も重要な課題である。だが、自治体に比べ、
政府の危機感は薄い。関係省庁の連携もできていない。
民主党は、外国人による土地取得に関する作業部会を昨年1月に発足させ、
水源地や自衛隊関連施設の周辺などを対象に規制を検討する方針を掲げている。
国土保全の重要性を認識し、政治主導で包括的な対策を講じてもらいたい。
(2012年5月13日01時44分 読売新聞)
URLリンク(www.yomiuri.co.jp)
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