12/05/12 01:46:23.55
日本の通商政策が迷走している。環太平洋経済連携協定(TPP)への対応では、国内の意見対立が解けず、交渉参加のメドが立たない。
日本が目指す日中韓3カ国の自由貿易協定(FTA)では、中国と韓国が先行して2国間で交渉を始めると決めた。
今週末に北京で開く日中韓首脳会談で、日本は中韓を追いかける立場になる。
遅れを挽回し、戦略を立て直す必要がある。通商外交の成否は、いつ、どの相手国と、どのような順番で交渉するかがカギを握る。
その戦略を間違えれば、交渉を有利に運ぶ主導権を失ってしまう。
昨年11月に野田佳彦首相がTPP交渉に加わる意欲を表明した直後は、日本の動きに世界が注目した。
経済大国の日本に触発される形で、カナダやメキシコも交渉参加に踏み出した。日本は貿易自由化の歯車の中心にいたはずだ。
米国主導のTPPに日本が加わると見てとったからこそ、焦った中国や欧州連合(EU)は、日本との連携を急いだ。
それぞれ日中韓、日・EUでも早く交渉を始めようとの機運が高まり、3つの枠組みが自由化を競い合う好循環が生まれる兆しがあった。
日本が自ら生み出した外交の有利な状況を生かせないのが情けない。
TPPでの日本の足踏みを見透かし、中国は余裕を取り戻して韓国を自陣に引き寄せている。
中国主導のFTAと、TPPは自由貿易の看板は同じでも、中身が本質的に異なる。
中国は自国内の市場改革を嫌うため、関税撤廃の例外品などが多い「緩い協定」ができ上がる可能性が大きいからだ。
アジアの自由貿易の流れが中国の都合で進めば、最大の市場である中国自体の改革が進まない。
これに対してTPPは、例外を排した関税撤廃のほか、競争政策の強化、投資の自由化、
知的財産権の保護、原産地規則の統一、技術基準の調和など、高い水準の貿易・投資ルールを目指している。
一方、日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)各国は、米国を含まない東アジア16カ国による広域FTA交渉の年内開始で合意した。
こちらはTPPと違って、例外品を柔軟に認める「緩い協定」になりそうだ。
お互いの弱点を大目に見る、中国式の通商政策の色彩が入り込んでいる。
日本がTPP交渉参加の判断を先送りするほど、日本自身の通商戦略の力が失われる。負の循環に陥ってはならない。
URLリンク(www.nikkei.com)
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