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フランス大統領選挙は6日、決選投票が行われ、最大野党・社会党のフランソワ・オランド前第1書記(57)が現職のニコラ・サルコジ大統領(57)を下して勝利した。
オランド氏は経済低迷など苦境の負担を富裕層にシフトし、現在講じられている緊縮策を緩和することによってユーロ債務危機を解決することを公約している。
オランド氏は、決選投票で保守系現職のサルコジ大統領を下した。
この結果、同氏は、ユーロ圏の重債務国の財政再建のため支出削減を求めているメルケル・ドイツ首相の考え方に対峙することになる。
オランド氏の側近によれば、同氏は6日中にメルケル首相に電話する方針で、大統領に就任したら出来るかぎり早急にベルリンを訪問したい意向。
訪問は今月15日の可能性があるという。世論調査機関CSAによると、決選投票でのオランド氏の得票率は51.8%だった。
フランスで社会党の大統領が誕生するのは17年ぶり。
オランド氏は、財政赤字削減に向けてサルコジ大統領が着手した努力を踏襲すると約束したが、富裕層にもっと貢献するよう求めるとも述べている。
国際面では、フランス部隊のアフガニスタンからの撤退迅速化を最優先課題の一つにしている。
ユーロ圏問題では、オランド氏の最初の措置が重要な意味を持つだろう。
ユーロ圏17カ国ではリセッション(景気後退)と失業が広がっており、
有権者や政治家、そしてエコノミストの間では、景気下降時に公共支出を削減するという考え方自体に対する疑問の声が高まっている。
メルケル首相はこうした考え方の持ち主で、ユーロ圏の公共財政に信頼を回復するのに緊縮策は不可欠だと主張している。
不信感はギリシャでも広がっており、同じく6日実施された同国総選挙では、連立与党2党に対して厳しい拒否の姿勢が示され、多くの票が小さな極左、極右政党に流れた。
オランド氏は、市長を務めたことのあるフランス中部の地元チュールで勝利宣言し、
「われわれは欧州を雇用と成長重視路線に戻すつもりだ」と述べ、「もはや緊縮策に縛られない」と強調した。
オランド氏の左派連合は昨年後半、上院で多数派になっており、来月には下院(国民議会)の選挙でリードする公算が大きい。
しかしオランド氏は、公約実行のためには政治的なあらゆるレジティマシー(正統性)が必要だ。
ユーロ危機を受けて、フランス経済は深い痛手を負っている。
例えばフランスの貿易赤字は昨年、700億ユーロ(約7兆3000億円)に達しており、隣国ドイツに対する競争力が弱っている。
失業率は13年間で最高の10%に達したし、スタンダード&プアーズ(S&P)は1月、
1兆7000億ユーロに上る累積債務を制御するフランス政府の能力に懸念があるとして、同国国債をトリプルAから格下げした。
ユーロ危機はまた、フランスの政治地図をも揺るがせた。
有権者の反乱は4月22日の大統領選第1回投票で顕著で、
有権者の5分の1近くが反移民と保護貿易主義、そして単一通貨ユーロ放棄を標榜した極右指導者のマリーヌ・ルペン党首に投票した。
さらに6日の決選投票でも、棄権が登録有権者4400万人のうち20%以上に上った。
このことは、有権者の不満を如実に示している。これは2007年の前回選挙時の棄権率を4%ポイント上回っている。
白票を投じたのも5%近くいた。
ソース:ウォール・ストリート・ジャーナル
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