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太陽光や風力など再生可能エネルギーの買い取り制度は、多くの難題を抱えている。
経済産業省の有識者委員会が、再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が買い取る価格の案をまとめた。
政府が5月中に正式決定し、7月から電力会社に買い取りが義務づけられる。
価格案は、1キロ・ワット時当たり、太陽光が42円、風力23円、地熱27円などとなっている。
有識者委は、それぞれの発電方法で通常かかる費用に、適正な利益を上乗せしたと説明している。しかし、各発電業界が事前に示した要望額とほぼ同じで、大方の予想より割高と言える。
自然エネルギー発電への参入を後押しし、普及に弾みをつける狙いだろう。だが、制度設計そのものに危ういところがある。
電力会社が高値で買い入れた負担分は電気料金に上乗せされる。
経産省は一般家庭の負担増は、初年度で月70~100円にとどまると試算しているが、普及につれて負担額は増え続ける。
鉄鋼など電力多消費産業には、料金上乗せ分の8割以上を減免する特例が適用される。
料金の減収分を穴埋めする補助金が底をつくと、これも他業種や家庭の電気料金の上昇へと跳ね返る。
コスト負担のバランスを欠けば不公平感が拡大するだろう。
今は、原子力発電所が停止し、火力発電の燃料費が年3兆~4兆円も余計にかかる非常時である。
電力コストの上昇は、極力避けなければならない。
再生可能エネルギー買い取りの影響で電力料金の上昇幅が拡大した場合、政府は買い取り価格を機動的に下げる必要があろう。
実際、買い取り制度で先行するドイツでは昨年、一般家庭の料金上乗せ分が月1200円に膨らんだ。
国民の反発を受け、今年春に買い取り価格を2~3割下げた。スペインでは今年1月、新規買い取りの凍結に追い込まれた。
海外の事例は、再生可能エネルギーを政策支援で普及させても、発電コストが高いままでは維持が難しいことを示している。
太陽光パネルなど新エネルギー関連の産業振興や雇用増を期待する声も多いが、現実は厳しい。
ドイツでは、割安な中国製に押されて、大手パネルメーカーなどの破綻が相次いだ。
太陽光、風力発電は、用地確保や発電設備の耐久性などに課題が多い。「脱原発依存」への道は決して平坦(へいたん)ではない。
(2012年5月1日01時10分 読売新聞)
URLリンク(www.yomiuri.co.jp)
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