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サンフランシスコを訪れたことがある人なら、丘の上に建つ歴史あるホテル、フェアモントホテルに1度は足を運んだことがあるに違いない。
カナディアンロッキーに行ったら、バンフ・スプリングス・ホテルとシャトー・レイクルイーズをあえて避ける人はいないはずだ。
■最高級ホテルがカイゼンに取り組み、利益が28%増に
シンガポールに行けばラッフルズホテルに行ってシンガポールスリングを飲み、ロンドンではサボイホテルでカクテルを楽しむ。ニューヨーク
ではプラザホテルで、日本のもう1つの敗戦日、1985年9月22日を想像してみる・・・。
別に観光案内をしようと言うのではない。実はこれらの歴史ある高級ホテルは経営が統合されて、いまは1つの企業グループ傘下にある。
そして、これらの高級ホテルが日本的な改善活動に熱心に取り組み、大きな成果を上げているという。コストパーフォーマンスを売り物にする
ホテルならいざ知らず、超がつく高級ホテルでカイゼン、ムリ、ムラ、ムダ・・・といった日本語が飛び交っている。日本生まれの経営革新手法が、
日本では明らかに下火になる中、世界では大変な勢いで広がっている。斜陽な日本と元気な世界を象徴しているようで何とも複雑な気持ちになる。
このホテルグループではカイゼンを2年前に取り入れてから、利益が28%も増えたそうだ。
具体的には、従業員同士の会合時間や電子メールに使う時間を減らして業務を効率化し、残業を大幅に減らした。客室係、フロント、クロークなどで
お互いの仕事ができるようにするマルチタスクを導入、ある業務がピークで忙しくなった時には他部門から応援ができる体制にして、業務を平準化し、
業務の効率化と顧客サービスの向上につなげた。
カイゼンのアイデアを出した従業員に対しては、その成果に応じて、5~100ドルの報奨金を払うようにもした。そうした中から、いくつもの改善提案
が出てきているそうだ。
■病院経営にも応用、劇的な効果上げる
例えば、電気をつけっぱなしにして出て行ってしまうゲストが多いことに対し、客室係が環境を守るためのさりげない一言を添えて客室に刺さったまま
になっているカードキーを抜くようにした。その結果、電気代が大幅に減ったそうである。また、ゲストがカードキーを磁気のあるものに近づけて作動
しなくなるトラブルが結構多いという。これについては、最新のIT技術を使ったカードに変えて、そのようなトラブルを一掃した。使えなくなったカード
を持って客室からフロントへ降りていかなければならないゲストの不満は大変なもの。カイゼン活動は、コストを削減するだけでなく、サービス向上にも
大いに役立っているという。
この事例は、先日シンガポールで開かれた「第2回アジア・リーン・シックスシグマ・プロセス・エクセレンス・サミット」で発表されたもの。これ以外にも
手作りに近い補聴器の世界的メーカーが、カイゼンを導入してコストを下げ品質を格段に上げた例や病院経営に応用したなど非常に多くの事例が発表されていた。
日本から飛び出たカイゼンは、その応用範囲も格段に広くなっているようだ。
病院への応用例など、日本はもう海外からカイゼンを学ばなければならない時代を迎えつつあるのかもしれない。
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