12/04/14 10:16:50.90
先日、ある研究会で配られた資料を見て驚きました。大きな不公平が、如実に示されて
いたからです。
それは、次のような数字です。資本金10億円以上の企業を対象にしたもので、いずれも
単位は億円です。
2010年 1998年 差
経常利益 4852 2344 2508
配当 1380.1 565.9 814.2
給与 7830 8071 △221
資本金10億円以上の企業では、1998年から2010年までの間に、経常利益は508億円増えて
います。配当に至っては814.2億円増大し、2倍以上になっています。
しかし、給与だけは減っていました。その減収額は221億円にもなります。
本来、労働者の給与として支払われるべき部分が、経常利益として会社の収入となり、
配当金として株主の手に渡ったというべきかもしれません。もし、この給与の減少分を
きちんと支払ったとしても、経常利益にしろ、配当にしろ、増え方が少なくなるだけで、
マイナスになるわけではありません。
この間には、2002~07年の戦後最長の景気回復期が含まれています。大企業は軒並み
史上最高益を更新し続けました。
その反映が、経常利益の増大や配当の多さに反映されています。しかし、それは、給与
には全く反映されませんでした。
「会社が儲かれば給与は上がる」というのは、「都市伝説」か「神話」の類にすぎなか
ったのです。富者が豊かになれば、そのおこぼれが貧者の懐にも回ってくるというトリクル
ダウン理論も、真っ赤な嘘でした。
もう一つ、この時に示された数字で興味深いものがあります。それは外国人株主の保有
比率の大幅な上昇です。
10年度の比率は、機械27.9%、電気機械32.5%、輸送用機械30.9%、精密機械29.3など
、ほとんどの機械産業が3割前後になっています。外国人株主の保有比率が3割を超えて
いる業種は、鉱業36.3%不動産業32.5%、保険業34.5%だそうです。
つまり、日本の企業であっても、その株の3割ほどは外国人に握られているというわけ
です。もちろん、企業によってはばらつきがあり、この割合がもっと高いところもあるで
しょう。
これらの数字は、日本の大企業が従業員のことを顧慮していないということ、日本の
企業であっても必ずしも日本の「国益」を守るようなスタンスを取らないということを
示唆しているように思われます。
環太平洋経済連携協定(TPP)などについての企業の主張や行動を見るときには、これら
の数字を思い出してみることも、大いに役立つのではないでしょうか。
ソース
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