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日本とカナダが経済連携協定(EPA)の妥結を目指している。
アジア太平洋地域の自由貿易拡大にもつながろう。
日加両国が、EPA交渉を開始することで合意した。
日本はシンガポールなど13か国・地域とEPAを締結しているが、主要8か国(G8)メンバーとの交渉は初めてだ。
EPAで貿易や投資が拡大すれば、両国の経済成長率を押し上げる効果が期待できる。
交渉の焦点は、日本の自動車・自動車部品にカナダが約6%かけている関税の撤廃問題である。
日本からカナダへの輸出の約4割が、自動車・自動車部品で占められる。日本は早期の関税撤廃を求め、輸出増大を図るべきだ。
日本にとって資源大国と連携する意義も大きい。カナダは天然ガスが豊富で、岩盤の地層に含まれるシェールガス開発が盛んだ。
東京電力の福島第一原子力発電所の事故後、定期検査を終えた原発を再稼働できず、火力発電所への依存度が高まっている。
日本のエネルギー安全保障上も天然ガスを安定調達することが重要だ。
カナダから輸入しやすいよう、貿易手続きの簡素化や、資源投資の環境整備が求められる。
一方、カナダからの輸入は小麦や豚肉などの農産物が多い。カナダは日本に対し、農産物の一層の市場開放を要求する構えだ。
ただ、カナダも乳製品や鶏肉に高関税をかけている。互いに妥協点を探ってもらいたい。
日加EPA交渉は、両国が米国などと事前協議している環太平洋経済連携協定(TPP)への参加に追い風となりそうだ。
米国を牽制(けんせい)する効果もある。
米通商代表部(USTR)のカーク代表は、訪米した玄葉外相に対し、
TPPの交渉次第では、日本のコメを関税撤廃の例外扱いにする可能性を初めて示唆した。
日本を交渉に早期に加えることが有益だと判断し、米国の姿勢が変化してきたのかもしれない。
貿易・投資のルール作りや関税撤廃などの交渉で、日本の立場を主張するには、早期に交渉のテーブルに着く必要がある。
TPP交渉の合意時期は、当初予定だった今夏ごろから、今秋以降にずれ込む見通しだ。
政府はまだ、TPPの正式参加を表明していないが、タイミングを失してはならない。
野田首相が主導して、明確な参加方針を打ち出してもらいたい。日本経済を活性化する積極的な通商政策を推進すべきである。
(2012年4月13日01時13分 読売新聞)
URLリンク(www.yomiuri.co.jp)
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