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広島県呉市に主力の生産拠点を持つ特殊鋼メーカーの寿工業（東京・新宿、奥原征一郎社長）は
今夏をメドに北九州製作所（北九州市）の生産を停止し、北九州の事業から撤退する方針を固めた。
子会社のアジア特殊製鋼（同）から原材料の供給を受けていたが、
同社が事業を停止し自己破産を申請したことで継続のメドが立たなくなった。
呉市の拠点に生産を集約して事業を再構築する。
寿工業の北九州製作所はアジア特殊製鋼と同じ敷地内に棟続きで立地し、2009年10月に完成した。
船舶や発電機などに使う大型鋳鋼品を年１万2000トン生産する能力がある。
特殊鋼母材をつくるアジア特殊製鋼の設備と併せ一貫生産体制を持つことで、競争力を高める狙いだった。
だがリーマン・ショック後の需要低迷や為替の円高・ウォン安で韓国への輸出が多かったアジア特殊製鋼の収益、
財務が大幅に悪化。事業継続を断念し、６日に自己破産を申請した。
これに伴い寿工業の北九州製作所は新規の受注を停止。
在庫の原材料を用いて既存受注分の生産は当面続けるが、今夏ごろ生産をやめる。
施設はアジア特殊製鋼の工場と併せ売却を検討する。
寿工業はアジア特殊製鋼に対し150億円超の債務を保証。もみじ銀行など取引金融機関と返済条件について交渉している。
主力金融機関は「製鋼、鋳鋼など主要事業の競争力は高く収益力がある。
雇用など地域経済に与える影響も大きい」（地銀幹部）として支援を続ける方針だ。
ただ、遊休資産の売却など経営改善に加え、飲食店経営などグループ企業が手掛ける関連事業については撤退も含め検討する。
寿工業は鉄スクラップを原料にして電気炉で鉄鋼を生産する電炉メーカー。
需要低迷や鉄スクラップの価格上昇により寿工業のような電炉メーカーは全国的に苦戦を強いられている。
URLﾘﾝｸ(www.nikkei.com)