12/03/28 22:43:16.01
産学官で事業化、低価格化が課題
薄型テレビなどで次世代の主役とされる「有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)」を巡り、
テレビパネルの開発で韓国勢に後(有泉聡)れを取った日本企業が、照明器具で巻き返そうと開発を急いでいる。
省エネに優れ、薄くて軽く目にもやさしい照明が作れるとあって、大手企業の参入が相次ぎ、産学連携の動きも広がっている。
■量産技術カギ
住友化学は4月、ドイツで開かれる世界最大級の照明・建築技術の見本市に、有機ELを使った60色もの照明パネルを展示する。
同社は「反響が大きければ商品化を検討したい」と期待している。
有機ELの照明パネルを初めて製品化したのは、三菱重工業とローム、凸版印刷、
三井物産などの共同出資で2008年に発足した「ルミオテック」(山形県米沢市)だ。
昨年9月からネット通販などで販売を始めた。パネルは正方形や長方形のデザインがあり、
14・5センチ四方のタイプで厚さ2・3ミリ、重さ100グラムと薄くて軽い。4月から省エネ性能が4倍の新製品も発売する。
三菱化学とパイオニアは昨年7月から、パナソニックと出光興産の合弁会社も同9月から、
それぞれパネルを部品として企業向けに販売を始めた。
省エネ光源としては発光ダイオード(LED)が商品化で先行している。
LEDが点で光るのに対し、有機ELは面全体で光るため、関係者によると目にやさしい明かりを作りやすいという。
問題は、まだ量産技術が確立していないため価格が高いことだ。
ルミオテックの製品は、卓上型で5万5000円する。各社は技術改良や製造コストの引き下げにしのぎを削っている。
電力消費効率を4倍に高めたルミオテック社の有機EL照明の新製品(2日、山形県米沢市で)=
URLリンク(www.yomiuri.co.jp)
■知恵を結集
世界初の有機EL照明専業メーカーであるルミオテックは、山形県米沢市で産学官の連携で事業化にこぎつけた。
米沢市には山形大学工学部がある。1993年に世界で初めて白色の有機EL照明を開発した城戸淳二(きどじゅんじ)教授らを中心に、
国や県の支援も受けて研究開発を進めた。
日本の有機ELの技術水準は高く、薄型テレビではソニーが07年に世界初となる11型の有機EL製品を発売した。
しかし、その後の大型化で韓国のサムスン電子やLG電子に水をあけられた苦い教訓がある。
城戸教授は「産学官連携の強化」を日本の製造業復活の生命線と位置付ける。
「地域ごとの特色を生かして研究開発を進める産学官連携は日本の強みだ。
今後は企業がもっと大学を活用し、大学も企業の要求に応える姿勢を持たなくてはならない」と強調する。
有機EL照明の主な開発状況
URLリンク(www.yomiuri.co.jp)
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