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3年ぶりの新卒薬剤師に、各社が獲得合戦を繰り広げる。薬学部生に高収入を提示して、
囲い込みに走る企業も。パートの時給も2倍に跳ね上がり、「賃金バブル」の状態が続く。
薬剤師不足に頭を痛めてきたドラッグストアと調剤薬局が、久々の「人材獲得」に沸き
上がっている。
2006年に大学薬学部が4年制から6年制に移行し、2010年と2011年は「新卒薬剤師」が
いない空白期間となった。だが今年4月、新卒薬剤師が3年ぶりに誕生する。
その獲得合戦は熾烈を極めた。高齢化が進み、薬剤師の需要は年々増加、需給ギャップ
は拡大の一途をたどる。それだけに、新卒の獲得は急務で、薬科大学の就職部には「毎日
のようにドラッグストアなどの採用担当者が相談に来た」(就職部部長)という。
だが、現実は厳しかった。「100人採用の予定が6割程度しか内定を出せなかった。病院
の人手不足も深刻で、そちらに人材が流れている」(大手ドラッグストア幹部)。「3ケタ
の新卒採用を計画したが、2ケタにとどまりそうだ」(大手調剤薬局広報)。
今年の卒業生は約9000人の見込みだが、店舗拡大を続ける調剤薬局やドラッグストアは
、大手チェーン数社だけでも1500人以上の採用計画があった。
各社が採用に苦戦する中で、獲得攻勢をかけて成功した会社もある。ドラッグストア
大手のグローウェルホールディングスは、100人の採用計画が「ほぼ計画通りに進んだ」
という。同社は新卒に600万円の年俸を提示したことで、業界関係者を驚かせた。厚生労働
省の賃金構造基本統計調査によれば、薬剤師の平均月給は30代後半で35万円程度。それだけ
に、グローウェルの高給待遇は際立つ。
「正直言って、ドラッグストアを希望先に挙げる学生は少ない」と薬科大学の就職部
部長は打ち明ける。学生に人気なのは、病院など医療機関。「研修生扱いで収入がほとんど
見込めなくても、『専門性を生かしたい』という学生の応募が殺到する」(人材派遣会社
)。こうした学生の意向をうまく受け止め採用に結びつけたのがドラッグストア大手の
スギホールディングス。在宅医療に力を入れており、「専門性を前面に出して、計画通り
200人に内定を出した」(同社広報)という。一方で、他社との違いを打ち出せない地方
チェーンなどが採用難に苦しんでいる。
ソース:日経ビジネスオンライン
URLリンク(business.nikkeibp.co.jp)
(つづく)