12/03/17 06:24:59.58
■ワタミ、素晴らしい会社だと思うが…ー出来すぎるトップの功罪
もう旧聞に属する話かもしれないが、ワタミグループで、長時間勤務を繰り返した26歳
の女性社員が08年に自殺した問題で、今年2月に過労による労災認定が下りた。とても
気の毒な話で、亡くなった女性に心から哀悼の気持ちを表明したい。
ワタミの創業者で現会長の渡辺美樹氏の以下のツイッターが事件に波紋を広げた。
労災認定の件、大変残念です。四年前のこと 昨日のことのように覚えています。彼女の
精神的、肉体的負担を仲間皆で減らそうとしていました。労務管理できていなかったとの
認識は、ありません。ただ、彼女の死に対しては、限りなく残念に思っています。会社の
存在目的の第一は、社員の幸せだからです。
「社員の幸せ」「労務管理できていなかったとの認識はない」という表現に戸惑った。
この事件の細かな事実関係を私は報道以上に知らない。渡辺氏は誠実な方なのだろうが、
このツイートは残念だった。
ただし、こうした悲劇が渡辺氏の周囲に起こりやすい状況であったとは、推測できる。
私は渡辺氏には2度、記者として取材で面会したにすぎない。表面的な分析かもしれない
が、その感想を述べてみよう。とにかく「すごい人」だった。
私はオカルトを信じない人間だが、彼からは明るい「オーラ」、エネルギーを感じた。
本当の心は見透かせないが、知る限り善意にあふれたよい方だった。言葉と行動が遊離
していない。この外食不況化で、損益を均衡させることは素晴らしい経営手腕だ。
しかも取材した記者に、サイン入りのお礼の手紙を送ってきた。もちろん、皆にそうして
いるのだろうが、気配りにも驚いた。経済界で、彼を悪く言う人はいない。
別件で渡辺氏だけではなく、ワタミも取材したが、立派な会社だった。社是は渡辺氏の
考えた「地球上で一番ありがとうを集める会社になろう」というものだ。働く人は礼儀
正しく、自分の仕事を誇らしげに話していた。
■働くことに追い込む上司と組織「私と同じように頑張れ」
しかし、渡辺氏について、いろいろ考えさせられる出来事があった。彼の創業から最近
まで幹部にいた方と、中堅幹部でワタミを退職した方と取材で話したことがある。以下、
内容を少しぼかす。
2人とも渡辺氏のことは決して悪口は言わず、尊敬の念を示していた。しかし社内のこと
には言葉が少なかった。2人とも会社を去った。幹部は過労のようだが、病気になって
退職していた。
渡辺氏は気配りが細かく、仕事の詳細な報告を求める。苦労する社員に渡辺氏は、正論で
諭し、そして励ますそうだ。「頑張れ、君ならできる。俺だってやり遂げたんだ」と。
これはきつい言葉だ。
渡辺氏のような、仕事のできる「完璧人間」には、誰もがなれないだろう。辞職の理由を
この2人の退職者は口を濁していたが、おそらく完璧人間と一緒にいて疲弊したのだろう
。しかも、相手が「正しい」ので、それを他人に言うと、弁解じみて聞こえるから黙って
しまったのだと思う。おそらく完璧な渡辺氏はこうした普通の人の苦しみを、理解できない
のではないか。
ソース
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(つづく)