12/03/12 23:12:35.55
中国人民銀行（中央銀行）の易綱副総裁は12日の記者会見で、外貨準備を使った
日本国債への投資について「円高が加速する局面では、ある程度減らす」と述べ、
円相場を考慮する考えを示した。中国はここ数年、外貨準備の運用先を多様化する
一環で日本国債を買い増してきた。一方、人民銀の周小川総裁は「預金準備率の
下げ余地は大きい」と語り、一段の金融緩和に含みを持たせた。
易副総裁は外貨準備を運用する国家外貨管理局の局長を兼ねる。全国人民代表大会
（全人代、国会に相当）に合わせて開いたこの日の会見には、周総裁ら人民銀の
首脳がそろって出席した。
易副総裁は「日本国債への投資は、日中両国が共に利益を得られる状況下で実施
したい」と強調。「日本側は中国からの投資が多すぎ、円相場の上昇につながる
ことを非常に心配している」と述べ、投資にあたっては日本側の事情にも配慮する
姿勢を示した。
昨年の春から夏にかけて円相場が上昇した際は、市場で「中国による日本国債の
買い増しが円高につながっている」との観測が浮上した。実際に、中国は債務問題
などで米ドルや欧州単一通貨ユーロの信用に不安が広がるなか、2010年ごろから
比較的安全な資産とされる日本国債への投資を増やしてきた。
日本の財務省の統計によると、昨年４月には期間１年を超す中長期債で、中国の
買越額が１兆3300億円と過去最高に膨らんだ。
ただ、昨夏からは売り越しが目立っている。市場では「１ドル＝80円の水準で中国は
日本国債を売り始めた」との見方が多い。円高のピークで円資産を大量に購入すれば、
円安に転じたときに中国自身が巨額の損失を負いかねない。易副総裁が円高局面で
日本国債の購入を減らす可能性に言及したのは、「安全運用」を意識した面も大きい。
易副総裁は日本の中国国債への投資を歓迎する意向も表明。野田佳彦首相と中国の
温家宝首相は昨年末の会談で、日本が中国国債を購入し、国債を互いに持ち合う
枠組みで合意した。日本政府は最大100億ドル購入する方針だ。
中国の外貨準備は昨年末時点で約３兆２千億ドルにのぼる。日本の３倍近い規模で
世界一だ。現在は７割をドル、２割をユーロで運用しているとされる。ドルやユーロ
の先行きに不透明感が漂うなか、運用先の多様化は優先課題になっている。
日本円は有力な投資先の一つ。日本の財務省によると、10年末の中国から日本への
証券投資残高は10兆５千億円。ほとんどが中国当局による日本国債の購入とみられる。
一方、周総裁は同じ会見で、市中銀行から強制的に預かる資金の比率を示す預金
準備率について「現在は20％台に達しているが、1990年代末には６％しかなかった。
理論的には下げ余地が大きい」と述べた。
人民銀は昨年12月に預金準備率を３年ぶりに下げ、金融政策の軸足をインフレ抑制から、
欧州債務危機で減速する景気の下支えに移した。今年２月には２度目の引き下げを実施。
市場では追加緩和への期待が高まっている。周総裁は「市場に十分な資金があるか
どうか」をみて、引き下げを判断する考えを示した。
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