12/03/12 23:07:54.30
日中両国が、円と人民元を直接交換する取引の拡大に動き始めた。現在は円や人民元を
いったんドルに交換しているが、両替するたびに手数料がかかる上、ドルの乱高下など
による為替変動リスクがより大きくなる。中国は為替リスクを減らしつつアジアでの
人民元の影響力を高めるために元建ての貿易を増やしており、日本と元建てで決済
できればメリットは大きい。日本は「人民元の国際化」を後押しすることで、人民元
相場の一層の弾力化につなげる狙いもありそうだ。
2月中旬に訪中した安住淳財務相が王岐山副首相と会談し、直接交換の市場整備に向けた
作業部会の設置で合意。現在、日本の財務省や日銀、中国人民銀行(中央銀行)などが、
課題の洗い出しを進めている。
現在も、人民元と円を直接両替することは可能だ。中国は09年以降、人民元建ての
貿易決済を段階的に解禁、貿易面で人民元とドル以外の外貨を直接両替する方針を
明確化している。中国はリーマン・ショック後のドル相場の乱高下などを踏まえ、
中国の輸出入業者が人民元で取引できる仕組みを整え、取引時と決済時の為替相場の
変動リスクを減らしたい考えだ。中国の元建て決済は11年に、輸出入総額の1割程度
に拡大した。
これに対し、日中貿易の人民元建て取引は1%以下にとどまり、依然としてドルを
介する取引が主流。人民元の急速な切り上げなどを懸念する中国政府は、長期間に
わたり、国外で人民元の取引を禁じるなどの規制を設けてきた。段階的に緩和して
いるが、現在も外国企業が中国企業に自由に投資できないなど、資本取引の規制は
厳しい。このため日本の企業や金融機関は「大量の人民元を手元に抱えるリスクを
取りたくない」(邦銀)のが現実で、円と人民元の直接取引の需要がどれだけあるか
は見通せない。
しかし、日本にとって中国は、いまや最大の貿易相手国。現状で日本企業が中国からの
輸入代金を元建てで決済する場合、手持ちの円をいったんドルに交換した上で、ドルを
人民元に交換して支払う必要があり、交換するごとに金融機関に支払う手数料がかさむ。
円と人民元を直接取引し、円建てや人民元建ての取引が増えると、日中いずれかの
為替リスクは軽減するため、財務省は「直接取引拡大のメリットは大きい」としている。
さらに、中国国外の企業が人民元を多く持つようになれば、自由な取引や投資を求める
圧力が強まり、中国側も一段の自由化を迫られることになる。日本政府は「世界的な
貿易不均衡や中国のインフレ懸念などを解消するためには、一段の人民元相場の切り上げ
(人民元高)が必要」(財務省幹部)と見ており、円との直接取引を増やして「人民元の
国際化」を促すことで、世界経済のリスク要因を軽減する狙いもありそうだ。
●図解
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